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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕の涙腺を刺激するもの ( No.396 )
- 日時: 2011/01/04 12:40
- 名前: 風菜 ◆feeLWMpK0E (ID: cp3YpwTA)
『……泉伊吹。』
『へぇ……。泉くん。いい名前じゃん。で、何でそんな泣きそうな顔してたの? 』
ニコニコしながら聞く一琉を少しだけ見ると、幼き俺は小さな声で言った。
『バスケで……、ここにいる奴等に負けて……。それで、悔しくて……。泣きそうになったんだけど、ここで泣いちゃダメだと思って、こらえてた……。』
『負ける? それは当たり前じゃない。ここはバスケ発祥の地、バスケの本場のアメリカだもん。』
その言葉に、俺ははっとした。
(アメリカ……? 俺は以前、アメリカに来たことあるのか……? )
そう思いつつ、俺は映像を見続けた。
『でもまぁ……、君みたいなスポーツマンが、こんな場所でうずくまってるとは思わなかったから、ビックリしたよ。ここ、何処だか分かってる? 』
そう問う一琉。
『図書館だろ……。しかも廃墟みたいな。』
『当たりーーーーー!! その通り。ここは廃墟になっちゃった図書館だよ。』
(廃墟……? 図書館……? )
そのキーワードを、俺は繰り返した。
(まるで、あの頃の秘密基地と同じじゃないか……!! )
そう。そうなのだ。あの頃と一緒なのだ。
『あの頃』とは無論、俺と一琉、そして結衣菜と零が集結して、一緒によく遊んでいた頃の事だ。
『でも、泣きたい時には泣いた方がいいよ、特にそういう悔しい時にはね。』
一琉は言った。
『勿論、今の泉くんみたいに我慢する事だって大切だけど……。ねぇ、知ってる? 』
と、いきなり切り出す一琉。
『涙って、涙腺から出るんだって。』
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