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Re: 僕の涙腺を刺激するもの   ( No.416 )
日時: 2011/01/14 21:56
名前: 風菜 ◆feeLWMpK0E (ID: KjZyd1Q/)

暖かい空気が辺り全体を包む。
今は、春。
ここは、とある公園。
桜の花びらが舞う木の下で、まだ幼い少女がくるくると回っている。

「未来〜、こっちおいで。」
そう叫んでいるのは、26歳になった俺、泉伊吹である。

「パパ!!!!! 」
目を輝かせながら、さっきまでくるくる回っていた5歳になった我が子、未来(ミライ)は俺の元へとかけてくる。

俺は未来を抱き上げ、後ろを振り返った。

「あれ? パパ、何処に行くの? 」
不思議そうに尋ねる未来に、俺は答えた。

「ママと零くんと結衣菜ちゃんのところ!! 」
「えっ? 零くんと結衣菜ちゃん、今日来てるの? 」
「そうだよ。会いたいだろ〜。」
「うん!!! 会いたい!! 」

無邪気な笑顔で笑う娘の顔に、癒される俺。

「向こうに、お兄ちゃんもいるんでしょ? 」
「うん、いるよ。多分、結衣菜ちゃんと遊んでると思うよ。」
「えっ、ずるい。未来も遊びたい。」
「大丈夫。向こうに行ったら遊べるから。」

俺は笑ってそう言い、また歩き始めた。























————— 零、そして結衣菜へ

零、退院おめでとう。それとリハビリおつかれ!!! それと結婚おめでとう。
ついに零も結衣菜と結婚したんだな〜って思ってたら、いきなり子供生まれちゃったな。
てな訳で、結衣菜、出産おめでとう!!! 男の子だってな。もう1人女の子産んだら、うちの子と合わせて、また子供の頃の俺等みたいに、秘密基地作ったりすんのかな? だけど、もうあんな悲劇は起こらないって信じてるよ。

とか思ってたら、今度はまた4歳になっちゃうし?
時が流れるのって、早いよな〜。

零、リハビリきつかったのに、よく頑張った!!! 流石は俺のライバル!!!! ずっと寝てたせいで体動かなくて、辛かったよな。だけどもう、お前の体はお前がリハビリ頑張ったおかげでちゃんと動くんだから、思いっきりバスケしようぜ!!!

結衣菜、頑張る零をしっかり支えてやったお前も良く頑張った!!!! マジですげえぞ!!! 
出産も、きつかったよな。俺だって、見てて辛かったけど、痛みを感じてる本人はもっと辛いよな。
よく頑張りました!!!

ところで俺は、今まで一琉以外に好きな奴は現れねえ……と思っていた訳だが、それが、一琉と同じ位に好きな奴が出てきたんだな。
それが、我が子!!!!!!!!!!!!!!
メチャクチャかわいい!!!!!!!! 
自分の子だから、誰よりも(一琉と同じ位)大事なんだよ。

とまぁ、ノロケはここまでにして……。

今度、公園で会うよな?
我が子達と俺と一琉はとても楽しみにしているようです。
絶対来いよ!!!!!!

じゃーな。
体には気をつけて。

————— 泉伊吹




















「あっ、パパやっと来たよ!!!! 」
向こうで叫んでいるのは、我が子の1人、そして未来の双子の兄、望夢(ノゾム)である。

「パパ〜!!!!!! 結衣菜と零、もう来てるぞ!!!!! 」
「お〜、ごめんごめん。」

俺はそう叫び、

「未来、パパ全速力で走っていくから、ちゃんとつかまってろよ。」
「うん!!! 」
俺の背中にいる娘にそう告げた。

「よし、行くぞ!!!! 」

俺は全速力で走った。

「わっ、パパはやーい!!!! 」
と、娘が驚きの声を上げた瞬間に、俺は我が息子がいる場所に着いた。

「パパ、また早くなった? 」
「そうかもね!!!!!!! 」
そう聞かれ、俺は息切れしながら答えた。

すると後ろにある家から、結衣菜と零が顔を覗かせた。

「ノーーーーゾーーーーームーーーーーーー!!!!!! 」
結衣菜が叫んで、望夢を引っ張り上げた。

「私を呼び捨てにするなって、何度言ったら分かるのよ!!!!!! 」
「あーーーも、うるせーぞ、結衣菜。何で結衣菜より零の方が静かなんだよ。訳わかんねー。」
「そうだ、全くだ。結衣菜、少しはその声のボリュームを下げないと、藍(ラン)が起きるぞーーー。」

そう言った瞬間、

「もう起きてる……。ママ、うるさい。望夢兄ちゃんがなに言ったっていいじゃん、別に。」

と、零の腕の中で眠っていた藍が言った。
歳の割にこんな落ち着いた話し方をするのは、おそらく零譲りだろう。

「もう、藍までそんなこと言うんだから。」

結衣菜は言った。
そしてすぐに、思いついたように口を開いた。

「あ、そうそう、私今、また子供生まれるから。」

その言葉に、俺、未来、望夢は驚く。

「えっ? 結衣菜ちゃんまた生まれるの? 」
「おいおい、俺の予想的中か? 」
「藍、お前兄弟できるのか!!!!!!?? 」

次々に問い詰める泉一家。
するとまた、後ろの家から誰かが出てくる。
まぁ、大体の見当はつく。
そもそもこの家というのは、蒼真家のものなのだ。






そしてその、蒼真家から出てきた人物は……。






















銀髪の、俺の愛する人。

生涯俺が愛すと、心に決めた人。

俺と未来と望夢を、一番愛してくれている人。



















泉一琉 ———————。























「もう、皆、中まで声が聞こえてくるよ。」

そう微笑む一琉に、そこにいる全員が笑みを返した。









『僕の涙腺を刺激するもの』 終わり