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Re:僕の涙腺を刺激するもの ( No.63 )
日時: 2010/10/17 15:49
名前: 風菜 (ID: NhY/JZtF)

第5章 「一琉の好奇心」


「やりたい事……? 」
僕は声を潜めた。

「そう。」
彼女の声は、目とともに楽しそうに弾んでいた。

「それは何だ……?」
僕は聞いた。

「泉くんモテモテイケメン大作戦。」
「はぁ!!!??? 」
滅多に叫ばない僕が、この後に及んで叫んだ。

「あっ、叫んだの初めて聞いた♪ 」
水槻一琉の呑気な声を完全に無視し、僕は続けた。

「何なんだよ! それは! 」

「え? その名の通りなんだけど。」

僕はため息をついた。

「断る。」

「ええーーーーーーっっっ!!! 何でーーーーーーーー!!?? 」

「なんでって……。」

僕は呆れた声で言った。

「確かに君が言った様なクラスの奴等と僕の考えが食い違っているという事は紛れもない事実だって分かったし、それを僕も理解した。だが……。」

僕は息を吸い込んだ。

「僕は決してイケメンではない。」

すると水槻一琉は大声で笑った。

「な〜〜〜〜〜に泉クン、そんな事気にしてるの〜〜〜〜? 」

笑いすぎて彼女の目からは涙が出ていた。

「大丈夫よ、泉くんにはその顔立ちと頭脳で寄って来る女子が現に今いるんだから。」

彼女の笑いは止まらない。

僕はため息をついた。

もう、面倒臭い。

「じゃあいいよ……。」

「やった♪ 」
水槻一琉は飛んで喜んだ。

「じゃあ条件出すよ〜★ 」
弾んだ声を出す水槻一琉。

その条件がこうだ。





1、ルックスを整えておく。(髪や制服の着崩し、メガネをコンタクトに変えるなど。)

2、授業にはちゃんと出る。だが、授業中はずっと窓の景色を見ている事。

3、女子からの挨拶やプレゼントは、笑顔で受け取る事。

4、体育の授業にはちゃんと出る事。

5、男子にも、しっかり明るく振舞う事。

6、水槻一琉の事は、「一琉」と呼び捨てにする事。






だ、そうだ。

少々理解出来ない点もあったが、面白い実験をやってみるつもりでいる事にした。








「ああ……、それと、ルックスについてなんだけど……。」
水槻一琉がそう言いかけた時、僕は言った。

「それなら、僕に適任者がいる。」
「え」と水槻一琉は驚いた顔をした。どうやら僕は、思わぬ発言をしてしまった様だ。

「じゃあ、大丈夫ね。」
だが彼女は、すぐに切り替えて言った。

「明日が楽しみね。」
そう言う彼女に、僕は笑った。



















明日から、人生初となる実験だ。