コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕の涙腺を刺激するもの ( No.84 )
- 日時: 2010/10/17 14:51
- 名前: 風菜 (ID: NhY/JZtF)
第8章 「囁きの中の自分」
授業に出るの、面倒臭い。
そんな事を考えつつも、
『いや、新しい実験をするんだと思えばいい』
などと様々な考えを張り巡らせた。
結果、後者に落ち着いた。
そんな事を何度も頭の中で繰り返していた。
ガラガラッ。
少し躊躇いながらも、堂々とした振る舞いで教室の扉を開けた。
途端に、教室がざわめいた。
「うっそ……、あれ、泉くんだよね? 」
「うん……。なんかめっちゃカッコよくなってる……。」
「ヤバい……。結構タイプかも。」
「あたしはタイプじゃなくてもあの顔だったらイケる! 」
次々に女子が囁き始める。
僕は不安だった。
この格好は、やっぱりおかしいのではないかと。
だが、そんな不安はすぐに消し飛んだ。
「あの……、泉くんだよね……? 」
一人の女子が僕に話しかけてきた。
「? そうだよ? 」
半ば不審に思いながらも、僕は答えた。
「そっかぁ……。何かいきなりカッコよくなったから、びっくりした。」
その言葉に、僕は問いかけた。
「もしかして、皆がさっきから言ってる事って、僕の事? 」
「うん。皆泉くんがカッコよくなったって言ってくれてるよ。」
その女子生徒がそう答えると、僕はもの凄く安堵した。
「なんだ、よかった……。」
「え? どうして? 」
「いきなり変わって、ドン引きされたかと思って心配してたんだ。だから、安心した。」
「そんな、誰も引いたりしないよ。その格好、似合ってるし……。」
僕は自然に微笑んだ。
「そっか。ありがとう。」
するとその女子生徒は、顔を真っ赤に染めた。
「な、何か泉くん、か、変わったね……。」
たどたどしい口調で僕に言ってきた。
「『変わった』……? 」
「そ、その、悪い意味じゃなくてっ、いい意味で……。話しやすくなったってゆうか……。前は結構話しかけずらかった……から。」
(なるほどねぇ……。)
僕がそう思っていると、女子生徒はいきなり切り出した。
「あの……っ、あたし、咲原結衣菜(さきはらゆいな)っていうの。泉くん、前まであんまり授業出てなかったから、名前知らないと思って……。」
「そっか、わざわざごめんね。咲原さんでいいかな? 」
「う……、うんっ!」
「じゃあ、よろしく。咲原さん。」
そういって僕は笑うと、咲原結衣菜の顔がまた真っ赤に染まった。