コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕の涙腺を刺激するもの ( No.85 )
- 日時: 2010/10/17 14:52
- 名前: 風菜 (ID: NhY/JZtF)
第9章 「才女の正体、再度思考」
そのあとの僕は、クラスの女子に囲まれて、もの凄く大変だった。
「いきなりカッコよくなったね〜! 」
「ねえ、日曜日って空いてる? 」
「泉くんがこんなに話しやすい人だったなんて知らなかった〜! 」
「もしかして今、彼女とかいる? 」
「てゆーかあたし、泉くんめっちゃタイプなんだけど!!! 」
一言で表すと、今の状況は、『大変』。
答えるのに凄くと言って良い程大変だ。
そんな状況を変えてくれたのは、彼女だった。
ガラガラッ。
教室の扉が開く音がする。
水槻一琉だ。
「一気に人気者だね。泉くん。」
失笑しながら、彼女は僕に言って来た。
僕はため息をついた。
「朝最初に会って、第一声をそれにするのはやめてくれないかな。一琉。」
彼女が出した条件の一つ、『水槻一琉の事は、『一琉』と呼ぶ』というのを思い出し、僕は彼女に言った。
すると途端に、女子だけではなく、今まで嫉妬の声を漏らしていた男子までもが騒ぎ始めた。
「え、何? 今『一琉』って呼ばなかった? 」
「何それ? 名前で呼ぶ程の仲だって事? 」
「もしかして水槻さんと付き合ってるって事? 」
「え〜!? やだぁ〜! 」
「嘘だろ〜!? 転校生までもう落としたって事かよ〜? 」
「てゆーかすでに彼女持ち? 」
「ぶはっっ!! じゃあ彼女持ちの奴にあんなに話しかけて来たって訳? 」
「超バカじゃね女子〜!!」
「それより俺、どうやって転校生落としたのか聞きてぇ。」
「あっ、俺も俺も。」
そんな声があちこちから飛ぶ。
ある程度予想していた事だが、ここまでだったとは。
ふと、水槻一琉を見た。
彼女は、まるで面白い光景を目の当たりにしたような、好奇心おおせいな目をしていた。
「不安? 」
水槻一琉が聞いて来る。
「いや、別に。」
僕がそう答えると、
「じゃあ大丈夫ね。」
と彼女は言った。
「全部計算通りだから。」
その言葉に、僕は背筋に何か冷たいものが走ったような感覚を覚えた。
(水槻一琉……。)
僕は薄い笑みを浮かべた彼女を横目で見た。
(一体、何者なんだ……?)
彼女が日本に来た理由、そして彼女の輝かしい過去を知っていても、さすがの僕もそう考えずにはいられなかった。