コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: しつ恋 ( No.16 )
- 日時: 2010/06/19 18:58
- 名前: 蒼雅 ◆CwIDAY6e/I (ID: TsdJlnVC)
- 参照: http://loveandstar.blog27.fc2.com/
04 *給食の時間で
「おっはよー!」「おい、昨日のテレビ見たか?」「あの雑誌買ったー?」
五 月 蝿 い 。
大勢でがやがやとした所が嫌いなわたしにとって、嫌な時間。
HR(ホームルーム)の時間がが着てないからって、騒ぎすぎ。
子どもすぎる。
お前ら、中学生だろ。
小学生以下だ。
……は、言い過ぎか。
まぁ、友達と楽しく話す、っていうのが楽しみなんだろうから、止められないよな。
「やべっ。宿題やってくんの忘れたわ」
隣の席、井野本が言う。
ていうか、もう少しでこの人ともお別れだー。
今日、席替えだし。
昨日は適当に皆座ってただけだからね。
「篤志ー、新学期始まったばっかなのに、宿題ってひどくねー?」
「だよなー。ま、オレはなんとかやってきたけど」
「じゃ、見せて」
「無理。正直に先生に言うんだな」
「ちぇー」
ここで会話が途切れた。
まさかとは思うが……。
「麻村ー、宿題見せてくんね?」
ほらね。
ま、お断りなんだけど。
振り返らず、答える。
「断る」
「堅いこと言うなってー」
「断る」
「ま、そういわず、麻村の旦那……じゃなくて、えーと、何だ?もういいや。麻村社長ー」
「断る」
どんなやり方でも断る。
嫌なモンは嫌だ。
仕方ない。
「正直に、だ」
「ちぇ!皆教えてくれないの」
「……教えてくれる人なら、いくらでもいるだろ」
仕方ないから教えてあげる。
「へ?どこに?」
「お前の周りにくっついている、女子」
「……ぁ……」
そう。さっきから、井野本の周りにいる、女子生徒だった。
「井野本君、わたしの見せてあげるよ!」
「わたしが見せるのー!」
女子生徒は井野本を取り囲み、キャーキャーいっている。
すると、木下が近づいてきた。
「おい、空がモテるって、知ってたのか?」
「まぁね……」
見りゃあわかんだろ。
昨日、井野本が私の隣の席にしたら、今日と同じ顔の女子生徒達が井野本周りの席にしてたし。
あんな奴でもモテるんだな……。
「お前、意外と空のこと見てんだな」
「はぁ?」
木下がニヤニヤしながら言ってくる。
「それは何かの誤解だ」
「ふぅん。ま、それが照れ隠しとかだったら、空、喜ぶだろーなー」
わたしは振り返って、木下を見つめる。
見つめるというか……半ば睨みながら。
「どういうこと?」
「さぁねん」
木下は相変わらずニヤニヤしながら、井野本のところに行った。
なんなの……。
まぁ、いいや。
わたしはまた頬杖をかきながら、空を見上げた。
今日は……ずっと晴れ。
天気予報、見てきた。
_
「だから、こーなって、あーなって」
だるい。
今は社会の授業。
この先生の話は余談ばっかり。
面白い話をするため、生徒からは人気があるが、わたしはそう思わない。
話すことは話せ。
まどろっこしい。
そんなことを考えていると、ヒソヒソ声が聞こえた。
「麻村、麻村」
声のするほうを見る。
井野本か。
わたしは何?という目で見つめる。
「なんでもない」
「はっ?」
何だ、コイツは。
余計なことをしよって。
「麻村さん」
今度はちょっと声のトーンをかえて、言った。
「だから何?」
「呼んだだけ」
「あっそ。いい加減にしないと先生に言うよ」
「あ、ごめん」
これで、終わった。
何なのコイツ。
授業をほとんど上の空ですごしたため、時間が早く、給食になった。
お腹すいてねぇ。
いいや、少なめにしよう。
給食を貰って、席につき、いただきますをした瞬間だった。
「お前のちくいっただきん〜」
「あ」
木下がわたしのちくわをとった。
ちくわは……わたしの大好物である。
「おい、お前、どういうつもり?」
「いひひ〜。お前のが美味しそうで」
「ウザイ。やめて」
「やめるもんか〜」
木下はわたしから盗った、ちくわを大事に取っておいた。
そして、すぐに、そのちくわを井野本に……。
「ほら、空。例のブツだぜ」
「さんきゅ〜」
ちくわは井野本の手に……。
「あんがと、麻村〜」
「お前が絡んでいたのか」
わたしはため息をつく。
本当にこいつ等、しつこい。
なぜ、わたしに構うのか。
わたしはさっさと食べ、皿を片付け、本を取り出して、自分の世界へ行った。
「ん?その本って、最近話題になってるやつだよね」
井野本が本を見つめながら言う。
わたしは、イラッと来る。
それもそのはず、わたしは今、一番いい所まできたのであった。
わたしの中で盛り上がっていた雰囲気が……台無しだ。
まぁ、まだわたしの集中力が足りないんだろうけど。
「……そうだけど。何?」
「ぐぇっ、そんな噛み付くようないい方しなくても」
「うるさい、黙って」
わたしは冷たく言い放ち、またもや自分の世界に入った。
井野本は少し機嫌を悪くしたようだった。