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Re: しつ恋 ( No.20 )
日時: 2010/06/21 19:40
名前: 蒼雅 ◆CwIDAY6e/I (ID: kx1LgPV4)
参照: http://loveandstar.blog27.fc2.com/

06 *久々の出来事

「席替えだぞー」

担任がそっけなく言う。
クラスは少しザワめく。
あーあ、席替えごときに何で騒ぐんだろうか。

「騒ぐな!」

おー、先生わかってらっしゃる。

「とりあえず、それぞれ自分の物まとめて、いつでも動けるようにしろよっ!五分時間をやるから。始め!」

テストが始まるかのように、掛け声を出した。
教室にいろいろな音が響く。
教科書を机に置く音、バックを机に置く音が非常に多かった。

「席替えしたくねー……」

独り言で、誰も聞こえないように言ったそうだが、わたしにははっきり聞こえた。
井野本だ。

「……どうして?」

わたしは聞いてみる。
気になる子でもいるのだろうか……。
青春ですなー。

「え、今の聞いてた?」

井野本が焦り気味で言う。

「バリバリ。まぁ、わたしだけだとは思うけど」

別に、わたし一人だからいいじゃん。
井野本はうーんと少し考え込む。
そして、少し顔が赤くなって手元を動かしながら答えた。

「その……き、気になる子と離れるかもしれないから……」

「ふぅん。そう。その子と近い席になればいいわね」

ほぼ、棒読み具合に言う。
興味ないし。

「……そか」

井野本は少し残念そうに言う。
何が残念だろう?
まぁ、聞き間違いってこともありうる。
まぁいいや。

「お前とならべく近い席がいい」

本当に小さい、小さい声だ。
でも、ちゃんと聞こえた。
お前……?
ってことは……。

わ た し ?

チラリと井野本を見る。
井野本はかなり顔を赤くしている。
トクンと心臓が高鳴る。





久々の音……。





久々のこの感覚……。





わたしはしばらく井野本を見つめていた。