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Re: しつ恋 ( No.25 )
日時: 2010/06/22 15:50
名前: 蒼雅 ◆CwIDAY6e/I (ID: kx1LgPV4)
参照: http://loveandstar.blog27.fc2.com/

08 *異変

「……———ら、さ……ら、麻村!」

ドキッと心臓がびっくりする。
ハッとなり、顔を上げる。
声の主は先生だ。

「何ボッーとしている?ぜんぜん片付いていないじゃないか」

「あ、す、すみません……」

わたしは急いで自分の物をまとめた。
あぁ、過去に浸ってしまった……。
過去を思い出しても、何も変わらない。

「よし、皆出来たようだから……男子から先にくじを引け。番号どおりの席に行けよ」

男子がいっせいに立ち、黒板の近くまで行った。
井野本がわたしのほうをチラリと見る。
わたしはすぐに逸らしてしまった。
井野本と高橋君は、似てないが、どこか似ている……。
井野本が人気者だから?

わたしを気にかけてくれてるから?

昔のあの喜び。
誰かが傍にいてくれている喜びがよみがえる。
ドキッドキッと心臓が大きく高鳴る。

大体の男子はくじを引いて、自分の席となる場所に行った。

「次、女子!」

女子がいっせいに立ち上がる。
視線が井野本の所に行く。
ちょうど、中心の席か……。

わたしもあの近くだったらな。

……って、何思ってるんだ、自分!
しっかりしろ!
どうせ、何かの思い間違い!
友達なんて、恋なんているものか!

順番が回り、わたしはくじを引く。
番号は……"六番〟
中心よりズレていて、しかも廊下側。
空なんで見えやしない……。
い、井野本じゃないし!
って、何、自分、ツンデレのツンになってんの!
自分が変……。
とりあえず、六番の席に向かう。
隣の席は……。

「よっ!」

「木下、か」

コイツとは離れていなかった。
わたしはテキパキと自分の物を机の下にしまったりする。

「よろしく〜」

「はぃはぃ……」

めんどくさい。
あーあ。
井野本を離れちゃった……って、違う、ちがーう!
そういえば、木下と井野本って仲いいよな。

「井野本と離れてお前、悲しくないか?」

「え、お前、空と離れてさびしいのか!?」

「はっ!?違うし。わたしが言ったのは、アンタが寂しくないのかって事」

「ん?んー……別にそんなに遠いって訳でもないし、第一、同じクラスだから文句なし、かな」

「あそ」

そっけなく答えた。
チラッと井野本の方を見る。
井野本もわたしを見ていたらしく、目が合った。
井野本はニカッと笑った。
わたしは恥ずかしくなり、視線を逸らした。

あーあ。
篠原……とか言ってたな。
あの勝負、本当にしちゃうかもしれない。