コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: しつ恋 ( No.34 )
- 日時: 2010/06/24 15:30
- 名前: 蒼雅 ◆CwIDAY6e/I (ID: kx1LgPV4)
- 参照: http://loveandstar.blog27.fc2.com/
10 *秘密で約束の場所
「終わり……」
宿題・復習・予習も全て終わった。
時計を手にとる。
帰ってきてからすぐやったから、かれこれ……二時間半やったのか?
ま、早かったほうだな。
帰ってきてから……、やる気があればしよう。
わたしは椅子から立ち上がり、制服から私服に着替えた。
さっきまでずっと制服……。
結構暑かった。
私服は楽なものを来た。
Tシャツに薄い長袖のカーディガンに、ショートパンツ。
ショーパンは……ちょっと寒いけど、楽だから許す。
まぁ……流行に流されてるみたいで、ちょっと嫌なんだけどね。
お金を持って、外に出た。
_
「ありがとうございましたー」
丁度欲しかった物が買えた。
シュシュや、ピン止め。
髪はそれほど長くは無いが、とにかく目線の先に落ちるので嫌だ。
今まで使ってたやつはボロボロだし……。
「あ……」
夕日が目に入った。
もの凄く綺麗だ。
今からあそこに行けば、もっと綺麗に見えるかもしれない……。
わたしは走り出した。
かなり走ったので、息が上がる。
でも、ベストタイミングだった。
この場所……ずっと前に見つけた、わたし一人だけが知っている場所。
誰も人がいなくて、建物が邪魔にならなくて、木がいっぱいあって、少し斜面が斜めになって、青草が生えているところ……。
わたしはその草の上にしゃがんで夕日を見た。
暇だったり、悲しかったり、嬉しい時、いつもここにきていた。
見つけてから……七年になるかな?
「あれ……?」
聞き覚えのある声がした。
振り返って、その人を見た瞬間、ドキンと心臓が跳ね上がった。
井野本だ。
「麻村じゃん……。お前、この場所知っていたんだ」
「……」
無言で返した。
そして、そのまま夕日を見た。
夕日は半分以上、沈んでいた。
「なぁーんだ、オレだけの秘密の場所じゃなかったんだ」
井野本はつまらなそうに呟いた。
わたしはスクッと立ち上がった。
「そう、それは失礼。じゃ、帰る」
ずっとここにいたいけど……。
ま、仕方ないか。
わたしは帰ろうとする。
と、そのとき。
「あ、別に帰らなくたっていいじゃんかっ」
井野本はわたしの手首を掴んだ。
今までにもなく、心臓が跳ね上がる。
振り返って、井野本の顔を見てみる。
夕日に照らされて赤いのか、赤面してるのかわからない。
でも、とにかく、その顔にさらにドキッとなった。
「一緒に……いようぜ。そ、その……用事が無ければ、だけどさ……」
井野本は手を離した。
下を向いて、俯いている。
わたしはしばらく硬直していた。
掴まれたところをさする。
今頃……わたしは顔が赤いだろう。
って、恋はしないって言ったんじゃないの!?
自分で自分をつっこむ。
わたしはため息をついた。
「わかった……。いいよ」
井野本の顔が輝いたように見えた。
わたしはさっき座っていた場所に戻って、体育座りをした。
井野本はわたしの隣に座った。
隣っていっても……少し離れているけどさ。
でも、その隙間がわたしを切なくさせる。
夕日に視線を戻すけども、やっぱり井野本に目線がいっちゃう……。
あぁ、どうしたらいいの……?
その瞬間、目が合った。
バッチリ。
わたしは慌てて視線を逸らす。
井野本もだ。
心臓がずっとドキドキいっている。
恋って怖い。
自分の人格を変えてしまうし、突然だから怖い。
あぁ、もう本当にどうしよう。
夕日が沈みかけたときだった。
「あのさ……ここ、俺らだけの秘密の場所にしない?」
「え……?」
「俺ら二人の秘密の場所……!」
二人の、という所にドキッとした。
わたしゃあ、変態か。
「絶対に誰にも言わないように!約束だ!」
井野本は小指を出してきた。
指きりげんまん……か。
幼稚園の頃……よくやってたっけ?
とりあえず、無視するのもあれなんで、わたしも小指をだした。
「指きりげんまん、嘘ついたら針千本のーます、指切った!」
パッと指を離した。
わたしは我を忘れて、井野本を見つめる。
ハッとして、顔をそむける。
めっちゃ……がん見してた……。
井野本も見てたし……。
夕日が沈んでからもわたしと井野本はずっとそこにいた。