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Re: Because you were「貴方がいたから」 ( No.122 )
日時: 2010/08/23 11:40
名前: ハルカ (ID: q9W3Aa/j)



「・・・後悔してなきゃ、・・・死んでいいのか?」

低く弱々しい声。だけどどこかに怒りがこもった声。

冷徹な瞳があたしを射抜く。

・・・時雨、君?

あたしはその瞳をそらせなかった。

「澪、・・・それは自分勝手な考えやで」

「・・・・え?」

どーいう・・・。 後悔しずに生きていけばいいじゃん。

それのなにがいけないの??

なにもわかっていないあたしに、ため息を吐きながら肩に時雨君が手を置く。

「・・・・先に死んで、・・周りにいた人はどないすんの?

澪は確かに未練もなんもないと思うけど・・・、他の人はちゃうやろ??

ずっと、“生きていて欲しい”って思っとるんちゃうの??

人に責任押し付けて、勝手に死ぬなんていかん・・・」

・・・なんだろう、この感じ。 誰かに似てる・・・。

いつもあたしを思ってくれてる・・、“三鷹”に・・——

「・・・・どうして」

「・・・・ん?」

「・・・どうしてそんなに、優しいの?」

お礼をいいたかったのに、なぜかこの言葉が出てしまった。

「会って二日目の人だよ??こんな重いものを背負ってるんだよ??

責任を他人に押し付けるような女なんだよ??」

・・・なのに、どうして・・。

時雨君は一度、遠くを見るように視線を彷徨わせてからあたしを見つめる。

「・・・・・してん」

・・・へ? してん?? なにそれ?

あたしの頭の中ははてなだらけだ。

そんなあたしを呆れたように見てからボソッと呟く。

「言葉にすると恥ずいもんやな・・・」

「・・・へ?なにが??」

時雨君は大きく深呼吸してから笑顔であたしに囁く。

「・・・・澪に一目惚れしてん」

・・・え??

風が再びあたしの髪を揺らす。

その髪を、今度は時雨君が押しとめる。

「俺、・・・・・澪が好きや」

あたしはその時、声が出なかった。

・・・・・時雨、・・君。