コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Because you were「貴方がいたから」 ( No.35 )
- 日時: 2010/08/16 01:43
- 名前: ハルカ (ID: Jp7wPE2D)
Ⅲ【015】
〔いよいよ最後の競技ですっ!!学年リレー!!!〕
放送委員の盛り上げにより、更に会場をヒートアップさせる。
すごいな・・放送してんの誰だろう?
〔学年リレーは1,2,3学年各二名ずつ参加してもらいます!!
尚、3学年クラス対抗には変わりありません!!1,2,3年協力して勝利を勝ち取りましょう!!〕
わぁあああーーー!!!!!
「本当にすげーな。 一体誰が放送してんだ?」
三鷹もあたしと同じ疑問を持ったみたい・・・。三鷹とあたしは似たもの同士なのかも…?
あたしは一人、クスッと笑ってしまった。
「3組のヤツこっち来てー」
3年の先輩に呼ばれて、あたしたちは固まって作戦会議を始めた。
先輩「君たち50mタイムって何秒??」
澪「あたしは6秒2です」
三「俺は5秒台!!」
めっちゃ自信満々に答える三鷹。確かに5秒台はありえない秒数だけども・・・。
1年生「俺たちは同じタイムで7秒ピッタシっす」
隣で女の子が小さくうなずく。
先輩「俺は6秒4だ・・・くそ、2年の女子に負けてる((泣」
先輩(男)が泣きまねをし始めて、それを見たあたしたちは、顔を見合わせ笑ってしまった。
少しだけ緊張が解けた気がする。
先輩「じゃ、第一は1年の男!スタートが肝心だからな!」
1年生「はいっ!!」
先輩「2走者が女の子の方な。んで、飯島(先輩女)で俺、2年女、男の順番だ!」
「「はい!!!」」
みんなで手を大きく上げてハイタッチ。なんだか気持ちが通じ合ったみたいだ。
「じゃー行くぞっ!!」
みんながグラウンドに足を進める中、あたしは一人、自分の手のひらを見た。
頑張ろう・・・。
見つめていた手が不意に握られる。顔を上げると、そこにはさっきまで
前に足を進めていた三鷹が立っていた。
「行くぞ」
そういってあたしに笑いかけてくる。
最近、三鷹が良く笑うようになったと思う。
三鷹の笑顔を見ると安心する・・・。
「うん・・・!」
嬉しくなって、握られた手を握り返して、あたしたちはグラウンドへ走った。
——————————
〔位置についてー、よーいっ!!・・・パーンッ!!〕
「「6ッ組、がんばれー!!!」」
「「4組ーー!!!」」
会場が一丸となってあたしたち出場者に声援を送ってくれる。
三鷹を見ると、みんなの声援を見て少し照れてるみたいだ。去年も出たくせに・・・。
そんな三鷹が可愛くて頬が緩む。
現在3組は・・・ドベ2です。第一走者の子が3組以外全員2年生なんて・・・。
でも最下位じゃないからすごいと思う。相手全員上級生なのに・・・。
「2年生っ、準備!!」
先輩の呼びかけであたしはスタートラインにつく。
5走者目からトラック2周しなければならない。・・・ちょっとキツイかも・・・。
その時、
「澪ー!!」
不意にあたしの名前を呼ぶ声が聞こえた。
会場中うるさいのに聞こえる・・・・、 三鷹の声…
あたしは三鷹のほうを振り向いた。背もそんなにおっきくないのに・・・
見た目だって普通だけど、簡単に見つけられる。
・・・・すっごい不思議。
「さっき約束したろーっ!!俺が抜かしてやるから!!」
三鷹の力強い言葉に思わず涙が出そうになる。
そんなあたしをよそにピースして笑ってくれる。
何で・・・そんなに優しんだよ、・・・バカ。
出てきそうだった涙を 腕で強引に拭い、あたしは飛び切りの笑顔で三鷹にピースした。
ありがとうの気持ちを込めて・・・・
バトンを渡されてあたしは全力で走った。1周走った時、一人抜かした。
今二人目とほぼ互角に走ってる。
その時、視界が一瞬暗くなる。
———こんな時に、発作?!
互角に走っていたがだんだん引き離される。
【俺が抜かしてやるから!!】三鷹の言葉を思い出す。
三鷹はそう言ってくれた。だけど次は三鷹以外全員、上級生・・・。
少しくらい、・・・楽させないとねっっ!!
唇をかみ締めてあたしは走るペースを上げた。
〔3組、一気にペースを上げてきましたー!!〕
・・・二人・・・・、目ッ!!!
「「わぁーー!!澪ー!!」」
〔3組二人目を抜かしましたー!!現在一位4組。そして2、3、6、1、5組です!!〕
「澪っ!!あとは任せろ!!!」
「・・・頑張って!!」
三鷹にバトンを渡し、あたしは膝をつく。それと同時に、保健の先生があたしに近寄ってきた。
学校であたしの病気を知ってるのは担任と保健の先生。
もちろん、運動していけないということも知ってる。
「早く保健室へっ」
「待ってください・・・三鷹が 走ってるんで・・」
乱れた呼吸を必死に整えて、あたしはゆっくりと言葉を紡ぐ。
今、チームのため・・・、 そしてあたしのために走ってくれてるに・・・一人のこのこ休めるはずがない。
・・・頑張って・・!!
心の中でそう祈りながら、あたしは三鷹の走る姿を目で追い続けた。
ラスト一周、残り一人。互角で走っている。
「・・・三鷹っ!!」
あたしの声が聞こえたか分からない。だけど届いて欲しい。———届いて・・・届けっ
〔———パーン!!一位3組ーー!!〕
わぁあ・・——と会場中が歓声を上げる。三鷹はクラスの人たちなどに囲まれて喜びを分かち合っていた。
あたしはホッとして力が抜けて、意識を手放してしまった。
