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Re: Because you were「貴方がいたから」 ( No.90 )
日時: 2011/07/25 21:48
名前: ハルカ (ID: HijqWNdI)

Ⅵ【026】





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「何話してたんだ?木下のヤツ泣いてたけど」

「気にしなくてもヘーキ」

「ふうん・・」

会話終了。 

心配してくれた三鷹は、保健室にはいってきた際、めちゃくちゃ息が切れてた。

たぶん急いできたんだろう・・・。それだけで胸が温かくなる。

だけど学校から今まで全然喋らない。会話だってさっきのでやっと。だけどすぐに終了。

あんま喋らない人が更に喋らないから・・・、無口になっちゃったみたい・・・。

しかも佐山のコトには一切触れてこないし・・・。 誤解してんのかな・・?

「・・・三鷹」

三鷹は無言であたしを見た。

正直に言おう。誤解されたくない・・・。

「佐山とはなにもないよ。よりを戻そうって言われただけ。だけどちゃんと断ったし」

三鷹の顔を真剣に見つめて言う。だけど三鷹は無言のまま。

「・・・三鷹が好きだから」

気持ちが伝わってないかと思うと、ひとりでに涙目になってしまう。

どうしてかな・・・、最近、泣いてばっかりだ。

俯いたその時だった。

「ホント、鈍感・・・っ」

不意にあたしを抱き寄せる。 

あたしには今の状況がわからなかった。

「・・・別に誤解してねえよ。確かに焦ったりはしたけど、お前そんな器用なヤツじゃねえだろ。

それに、お前は鈍感だし、隙を見せれば抱きしめられるだろ」

抱きしめられる力が更に強くなる。

「だけどさ、俺やきもちやきだからさ・・・。それ聞いたらめっちゃ嫉妬した。

だから、別にうたがってねえよ」

耳元で囁かれる声は少しかすれて、だけどはっきり聞こえる。

あたしはその言葉を聞いて安堵のため息をする。

「よかった・・・」

あたしがそういうと、三鷹はばっと腕を解いてあたしを疑視する。

「よくねぇ!!ほかのやつに触られてたまるか」

三鷹の言葉に思わず笑ってしまう。 そしてしばらくしてふと気付く。

「・・・・・・今更だけど、道端で恥ずかしいこというなっ!!!」

三鷹を突き飛ばしてずんずん前に進む。

うわぁ、なにやってんだろあたしっ!!! 恥ずかしくて顔が赤くなる。

だがすぐに駆け寄ってきた。 嬉しそうな顔して。

「何笑ってんの?」

「『好きだから』、あれ他では言うなよ。殺し技だからな。 瞬殺だぜ瞬殺」

言わなきゃ良かった・・・。ってか、瞬殺ってなによ?

呆れてため息を吐くと三鷹がポツリと呟いた。

「・・・俺は好きじゃなくて、大好きだ」

「・・?何か言った?」

聞き取れないからもう一度!あたしは三鷹を見つめた。

三鷹はというと顔が真っ赤だ。

「なんでもない」

恥ずかしそうに言葉を吐き捨てて、今度は三鷹がずんずん先へ進む。

あたしは三鷹の背中に向かって微笑む。

実はちゃんと聞いてたりして・・。

「ありがと・・・」

誰にも聞こえないような小さな声で呟く。

するといきなり三鷹が振り返り、手を差し出す。

「寒いから手」

「・・・うん」

あたしは三鷹に駆け寄り、その手を握った。





季節は冬を迎えた・・・————