コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: おてんばアリスの策略! ( No.1 )
- 日時: 2010/06/20 17:34
- 名前: はるた ◆On3a/2Di9o (ID: V32VFdCN)
今日はとても暑い日でした。蝉がうるさいくらいジージーと鳴き、手に持つソーダ味のアイスキャンディーがどろどろと溶けてきてしまうのが少し困りものです。
わたしは割と好きなものには執着してしまうタイプです。熱しやすく、冷めにくい。その典型とも言えるかと思います。
だからあなたのことも大好きな気持ちに比例するように執着心も芽生え、日に日にそれはむくむくと大きくなっていったのです。
今日のあなたは午前十一時五十三分二十八秒に起きました。朝(といってももう正午近くでしたが)起きてまずしたことは、テレビの電源をつけてニュースを見ること。
確か政治家の汚職事件について、若い女のリポーターが国会議事堂の前で一生懸命喋っていましたね。
はっきり言って、わたしには関係ないのでどうでもいいことなのですが、あなたはどうなのでしょうか。
次にあなたがしたことは顔を洗うこと。そしてそのあとトイレに行き、朝食を食べて歯を磨いた。
あなたはトーストを二枚、バターを塗って美味しそうに食べていましたね。それと珈琲も。砂糖も牛乳も一切いれないところが、あなたらしいと思わず微笑んでしまいました。
そしてあなたは自転車にのり本屋に向かいました。
何かお気に入りの漫画の発売日だったのでしょうか。あなたは目当てはそれだ! とでも言うように一目散にそれを手に取り、レジへ持って行きました。
あなたと同じものが読みたいので、わたしも同じ物を買いました。わたしがレジに並んだ頃には、あなたはもう本屋を出てしまっていましたが。
追いかけるように急いで本屋を出ると、あなたはまだその本屋の駐輪場に居ました。ほっと胸を撫で下ろしたのもつかの間、あなたに駆け寄ってくる女がいるじゃありませんか。
「斉藤くん!」だなんて馴れ馴れしい害虫ですね、全く。わたしですらあなたの名前を呼んだ事が無いというのに。
それでも優しいあなたはニコリと微笑み、その害虫の名を呼び、ふわりとその髪に触れました。
何故でしょうか。あなたはわたしに触れてくれたことはありません。というか話しかけてくれたことも無いです。どうしてでしょう、何でそんな害虫なんかに触れるのでしょうか。
そしてあなたは自転車を押して歩き、害虫と話しながら家に帰ったのです。
わたしは凄く執着心が強いですが、忍耐強くもあります。
だから直接害虫に、あなたに近づかないで触れないで同じ空気を吸って生きていかないでとは言いませんでした。ね? わたし凄いですよね。
そんなこと言わない代わりに、行動で示すことにしました。大好きなあなたも、きっと望んでるはず。
あ、あの害虫を殺したナイフはこの手紙の封筒の中に入ってますよ。わたしの勇気の証です!
もしかして害虫を殺したナイフなんか触れたくないでしょうか? そしたらわたしに返しに来て下さい。
そうしたら愛の言葉をたくさん囁きます。暑い夏に負けないくらい、あなたをもっと熱くします。
ね? わたしとっても頭が良いでしょう?
(壊れかけた感情を、君へとぶつける)