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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: おてんばアリスの策略! ( No.3 )
- 日時: 2010/06/20 17:34
- 名前: はるた ◆On3a/2Di9o (ID: V32VFdCN)
好きです、その声が外だというのに、空間で響いたような気がした。
彼は驚いたような顔をしてえ、と声をもらす。そして焦ったような照れたような、なんともいえない表情を見せる。
彼の答えは分かってる。『他に好きな子が居るんだ、ごめん』きっとそう。
だってあたしは知ってるの。彼があたしなんか見てくれていなかったってこと。知ってる上での告白だった。
「俺は」
彼がゆっくりと口を開く。次の言葉を待つ。答えなんて分かってるのに。
「他に好きな奴がいるから」
そこまで聞いたところで耳を塞いだ。知ってる、知ってる。わたしの恋愛なんて甘酸っぱいんじゃなくて、ただただ苦いだけだったんだって。だからこれ以上惨めにさせないで。
「知ってるわ。あたしの、妹が好きなんでしょ?」
そう知ってる。妹が『お姉ちゃんのクラスの人に告白された』と言っていて、それが彼だということも。妹はそれを振ったということも。
「あたしは妹の代わりに愛されるなんて耐えられない。だから振られて良かった」
彼にそう言うと「ありがとう」そして「ごめん」とつぶやかれた。馬鹿みたい、どこまでも優しい彼。どうして謝るの。
そんな彼をあたしは大好きだった。だけど彼は、あたしのことを見てくれなかった、それだけのこと。
(甘酸っぱい恋、それはあたしとは無縁)
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