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　ノイズが消えない、耳鳴りも止まない。胸の鼓動は鳴ってる気がしないし、自分の呼吸音がどこか遠くに聞こえる。
頭痛がするし、吐き気もする気がする。胃が痛いし、喉の奥がヒリヒリと痛い。嗚呼、僕は一体どうしたんだろうか。

　不意に、携帯電話の着信音が鳴った。一定の音程を保つ、普通の機械音。通話ボタンをおし、電話に出る。
「はい、もしもし……」
『あ、何やってんの！　何時だと思ってんの？　今日学校あるって知ってる？　休むなら担任に連絡いれなさいよ馬鹿！』
　一方的に喋られて、一方的にブツッと通話が切られた。幼馴染で、昔から世話を焼いてくれる彼女からの電話だった。
「何なんだあいつ……」
　かすれた声で呟く。それからあ、と声がもれた。
彼女の声を聞いてから、さっきまでのノイズや耳鳴り、胃痛や頭痛や吐き気がいっきに消えていった。
いつのまに、体の奥底で彼女を求めてたみたいだ。

僕はどうやら、彼女依存症みたいだ。
きっと本人に直接言ったら『気持ち悪いこと言わないで！』と顔を赤く染めること間違いなしだと思う。

（彼女依存症）