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- Re: 憂鬱メアリー | 愛した君 ( No.91 )
- 日時: 2010/07/04 12:35
- 名前: はるた ◆On3a/2Di9o (ID: hNhLtowv)
ガラス玉のように儚い恋心はやっぱり無残に砕け散りました。何で? 好きな人が死んでしまったからです。好きな人、と一言に言っても色々な好きがあります。両思いの好き、片思いの好き。家族愛の好き、友情としての好き。私の彼に対する“好き”は、片思いの好きだったのです。
彼が私のことなんて眼中に無いことは分かっていました。だって彼は私のことなんてただ委員会が一緒な女としか思ってないのですから。彼には可愛い好きな人が居たのですから。
気弱な私は何も出来ませんでした。気持ちを伝えることも、彼の誕生日を祝うことも、一緒に帰ろうと誘ってみることも何もかも。
——彼が死んだ、と聞いたときは涙すら零れてきませんでした。
普通なら狂ってもおかしくないかもしれませんが、彼に気持ちを伝えておけば……なんて後悔はおきませんでした。気持ちを伝えたところで、両思いになれる可能性なんて零だから。彼を困らせてしまうだけ、気まずくなってしまうだけ。そんなこと、絶対耐えられなかったのです。彼亡き今、そんなことを言っても仕方が無いのですが。
お葬式には、彼の人柄を表すかのようにたくさんの人が来ていました。他の学校の人も大勢居ました。小さな子供までいました。優しくて誰にでも好かれる彼です。当然といえば当然でした。
——私はただ、委員会が一緒だっただけです。それ以上の関係はありません。そう考えるとやっぱり寂しいけど、涙はこぼれませんでした。
彼が居なくなっても、私は大人になってきっと他の人と結婚(出来たら)するのでしょう。彼が居なくても世界は回ります、時は進みます。いくら私の世界の中心点は彼だったとしても、きっとそれは時が経つごとに色褪せていってしまうのです。だから大丈夫、大丈夫。
そう、涙も零れない程心が壊れてきている自分に言い聞かせました。ねぇ、好きだったんです。好きで好きで仕方が無かったんです、なのに。
(怖いくらい君の名を呼ぶ)