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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 憂鬱メアリー |嘘つき彼女 ( No.125 )
- 日時: 2010/07/10 15:09
- 名前: はるた ◆On3a/2Di9o (ID: L0k8GmDX)
ちょうど梅雨の時期で、雨が鬱陶しくなる位毎日降り続いていた。よく雨が降ると、独特の湿っぽい匂いが道路からするが、あれはアスファルトが雨を吸い込んだ匂いだと誰かから聞いたことがある。俺は中々この匂いが好きだけど。
隣で肩を並べて(身長差はそりゃあるけども)歩く彼女は、真っ赤な傘を差していた。真っ白な彼女の肌に、赤は対照的で凄く綺麗。彼女の白いワンピースの裾が揺れて、ふわふわと舞う。
「梅雨なんて嫌い。何も出来ないじゃない」
彼女は不満そうに呟く。レンガで出来た道を歩くと、彼女の靴のヒールがカツカツと音をたてた。
「何かしたいことがあるのかい?」
彼女に尋ねると、顔をあげて俺の目を見て
「テニスがしたい、あと家の近くの花の多い道も散歩したいわ。あとね、久しぶりに丘の上の大きな木も登りたい」
木登りがしたいって……もう二十歳を超えようとしている人が言う言葉じゃないと思ったが、彼女を怒らせると怖いのでやめておいた。
喫茶店に入っても、ザァザァと雨が降る音が聞こえてきて、彼女を酷く不機嫌にさせた。彼女を天気で表すのなら、きっと雷か嵐だ。
「もう! 梅雨明けはいつかしら。雨は神様の涙なんて言うけど、神様泣き過ぎよね。辛いことあったとしても、泣いてたって何も変わらないのに!」
彼女は迷信を信じるところがあった。魔女や妖精なんて類も勿論信じてるし、動物は自分たちの居ないところで普通の言葉で話してると思っている。一言で言えば、彼女は少し人とは違っていた。
「あたしが神様を泣き止ませなきゃいけないのかしら」
あまりにも本気で彼女が溜息をつくから、
「もうすぐ泣き止むよ、神様も」
と言った。彼女は「そうね」と花の様な笑みを見せる。気付いたら雨はあがっていた。
(レイニーサンデイ)
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