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Re: 憂鬱メアリー |涙色サンセット1/3 ( No.147 )
日時: 2010/07/12 14:03
名前: はるた ◆On3a/2Di9o (ID: L0k8GmDX)


(曖昧だけど確かなこと)

 あたしは幼い頃魔法が使えたの。嘘つきとか、そんなことあるわけないだろって友達には笑われるけど、本当。魔法って言っても、何でも出来る万能なものじゃなかった。動物と話せる魔法、唯一つだけあたしは知ってたの。
雨が降ると庭には小さな緑色のカエルがいて『雨が凄く気持ち良いんだ』って喋るの。だからあたしは『えーっ! やだよ、遊びにいけないんだもん雨が降ると』ってカエルに言葉を返す。そんなことを毎日繰り返してた。野良猫とだって、隣の家の飼い犬とだって会話が成り立ってたわ。

 気付けばもうその魔法は使えなくなって、野良猫はニャーとしか鳴かないし、カエルも犬も喋らない。鳴き声としか分からない。それは寂しいし、やっぱりまた話したいなって思う。

 ……ねぇ、あんたさ寝てるの? ああ、起きてる? え? 呆れて目を閉じてた? 何それ! 侮辱? 可愛い可愛い自分の彼女になんてことを! ……ああ、可愛いは余計よね、自分でも気付いてた。あはは、ごめんごめん。
こんな話聞いて嘘だと思う? 信じてもらうつもりは無かったんだけどね。誰も信じてくれないし。え? 信じてる? 何あたしを喜ばせたいの? まじで信じてる? だって俺もその魔法に覚えがあるから? うわー本当? え? 別に俺はそんな馬鹿みたいな魔法は使えなかった? いっきに喜びが引いていったよ、何よーちょっと嬉しくなったあたしが馬鹿みたいじゃないの。え? 近所の女の子が動物と話してた? へーそうなの。あたしと同じ魔法が使えた子がいたのね。え? 雨の日、庭に居た緑色のカエルと喋ってた? ……え? それって……あっちょっと! 何で急に走って逃げるのよ! その、女の子って……

(曖昧だけど確かなこと)