コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 憂鬱メアリー |恋愛摩擦 ( No.218 )
日時: 2010/07/17 14:18
名前: はるた ◆On3a/2Di9o (ID: L0k8GmDX)


 今年は例年と比べて梅雨明けがかなり遅かった。七月も終わる頃になってもまだ、一週間のうち雨の降る日の方が多い。そのせいで毎年行っていたお祭りが潰れたりして、やっぱり早く明けないかなとか思う。だけど案の定、窓の外では雨がザァザァと音をたてて降り続いてる。あーあ、これじゃあ今日あるお祭りも中止かな、と溜息が零れた。まぁ毎年一緒に行っていた彼は、もうわたしのそばには居ないんだけど。

 彼は幼馴染だった。結構仲が良くて、毎年毎年お祭りがあると一緒に行っていた。わたあめとかカキ氷とかたこ焼きとか……食べ物を買っては、ベンチに座って一緒に食べていた。ただのラムネも、彼と飲むだけで凄く美味しく感じだのだ。

『彼女が出来たんだ』
 そう言われたのは去年の夏。ちょうど今ぐらいのこと。
『だから、お祭りを一緒に行けるのは今年が最後』
 そんな当たり前の一言に、酷く心が傷ついて泣き出しそうなのを必死で堪えて『そうだね』なんて言った。嘘吐きなわたし。本当は嫌だって言って、彼を困らせたかったのに。

 お祭り当日はかなり晴れてて、蝉がジージーと鳴きだしてた。夕方が来るのが待ち遠しいような少し寂しいような複雑な気分で、わたしはふうと息をついた。
確か六時ぐらいに彼がわたしの家に来て、それでお祭りへと向かったんだと思う。よく覚えてない。一昨年のことなんかははっきりと覚えてるのに。

 やっぱり人は多くて、屋台もたくさん。賑わっていた。お祭りが開かれているのは近所にある物凄く大きなことで有名な公園で、花火大会も同時に行われるのだ。
『凄いな、人が』
 彼はそう言ってわたしに笑いかけた。この笑顔も今年で最後、今年で終わり。考えるだけで胸がおしつぶされる。
『まずわたあめ食べるだろ、カキ氷も食うし……あとラムネもジャガバタも……射的もやりたいな』
 彼はいつもと変わらぬ調子でそう喋る。わたしばっかりが落ち込んでるんだ、やっぱり。そんな事実にさらに落ち込んだ。

(金魚とわたし)1/2