ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

　星が見えない。家を出て少し歩けばビルが立ち並ぶ大通りに出て、車が凄くうるさい。空の色も空気も道を歩いている人の目も何もかも、全て濁っている気がする。正直言うと、人工衛星と星の違いが分からないくらい、夜空には何も無い。窓の外から外を見て、遠くに見えるのは山とかじゃなくて、マンション。

　星が見えない、何で？　そう母に尋ねたのは確か小学校低学年の時。『空気が汚いからよ』そう言われても首を傾げることしか出来なかった、まだ幼かった自分。別に星が好きなわけでもない。じゃあ何でそんなに星を気にしてるの、と聞かれても答えなんてそんな分かるはずも無く。

　部屋からベランダに出て、外を眺める。見えたのは星ではなくやっぱりビルや車や道路やマンション。いかにも都会！　と主張しているような景色。生まれたときから見ているこの景色に、魅力を感じたことなんて一度も無い。空を見る、真っ黒なだけで星なんて無い。七夕の日だって、天の川なんて見れたことなんて一度も無い。

「何で星が見えないの？」
　幼い頃した質問を、誰にというわけでもなくしてみる。答えてくれる人なんているはずもなく、というかいたら逆に怖いが、虚しく空気中に霧散していった。

　星は見えない、キラキラ光るもの、きっとそれは人工衛星。

（スターダスト）