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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 白雪姫はりんご嫌い / 短編 ( No.297 )
- 日時: 2010/07/31 12:16
- 名前: 七海 ◆On3a/2Di9o (ID: L0k8GmDX)
肩が、痛い。
夏の体育館というものは想像しがたいくらい暑く、倒れる人も出てくる。それもほとんど女子。バスケ部やバレー部と違い、バドミントン部は窓を開けることが出来ないということも関係してくるのだと思う。入り口も窓もカーテンも、全て閉め切るのだ。
夏休みの上旬に控えたシングルスの県大会に向けて、あたしは練習に励んでいた。これでも女子の中では一番手で、自分でも少し自惚れている部分があったんだと思う。県大会に進めたのはあたし一人だけだったし。
だけどこんな大切な時期になって、あたしはスランプに苛まれていた。
スマッシュが決まらない。決まったとしても、威力が弱い。どんな技を決めても線から出てアウトになってしまう。ネットにシャトルが引っかかる。
「沙耶、大丈夫?」
ペアで今は練習相手になってくれている中野比奈がそう言って心配そうな顔をあたしに向ける。
「ごめんね、わざわざつき合わせちゃってるのに……」
そう言うと比奈は「何言ってるの、協力するのは当たり前でしょ?」と笑ってくれた。それだけで少し救われたような気がした。
休憩時間、肩に貼ってある湿布をはがして新しいのを貼る。ラケットを振るだけで肩が痛い。スランプというより、肩の痛みが原因で思うようにラケットが触れないのだろうか。
あたしは自分の肩にそっと触れる。まだ、こんなことで終わりたくない。せっかく二年半、部活を続けてきたのだから。唇を噛み締めて、シューズの紐をしばりなおす。そして立ち上がった。体育館の床とシューズの底面がこすれて、キュッキュッという音をたてていた。
(最後の部活)
肩の痛いときはバドミントンやっちゃだめです、まじで!
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