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Re: 青春ライン*コメディ ( No.2 )
日時: 2010/07/02 21:03
名前: 梓 ◆hRE1afB20E (ID: 8I/v6BBu)

1話




桜華岬川高校。

かなり有名で、レベルがこの辺りで一番高い学校だと聞いていた。


そして、たまたまその学校の受験に合格した俺は、

面倒くさそうに校舎を見上げ、思わずため息をついていた。

『何で俺がこんな息苦しい高校に来なきゃなんねーんだよ…』

ここは、不良なんかが到底来れるような場所ではない。

小奇麗な校舎に、きっちりとした制服。素晴らしく落ち着かない。

嗚呼…進路表に一番家から遠い高校を選んで書いた俺が馬鹿だった。

———めんど臭ぇ、入学式サボるか。

行く気になれない俺は、180°体の向きを変え、北門から立ち去ろうとした。

しかし、ちょうどその時だった。

「———おい、そこの。ちょっと待てや」

…あ?

誰かに、そう呼びとめられた。

『何だよ朝っぱらから…』

俺は睨むようにその相手を見ると、その相手は「怖っ」と、笑いながらそばに寄ってきた。

…それは、限りなく顔見知りの人物だった。

「よぉ、やっぱお前か、東城 渚!元気しとったか?」

「…、

 お前の顔を見るまでは元気だったかもな、斎藤」

斎藤 修哉。

俺の幼馴染で女好き。ついでに関西弁。俺と同じ不良いう類の人間だ。

ちなみに、言うまでもなく『東城 渚』は俺の名前。

「なんや冷たいなぁ〜、

 お前が証拠にもなく入学式サボるんちゃうか思て来てやったのにー…。

 …一人だけずるいねん、僕も混ぜ(サボらせ)ろや☆」

「帰れ」

ピシャッと俺は言ってやった。

コイツ今日テンション高すぎ。何なんだよ。語尾に『☆』なんかつけやがって。

「お、お前っ…帰れやと!?嫌や、絶対帰るかぁ!

 可愛い女の子捕まえるまでは何があっても…グハッ」

「結局女じゃねーか。…だからテンション高ぇのか馬鹿」

俺は、はしゃぐ斎藤の腹に蹴りを入れ、そう言った。

しかし、斎藤は反省の色を全く見せず、腹を押さえ地面にウズクマりながら、

「女の子好きで何が悪いんや〜…。僕、女の子は大事にするタイプやし何も悪ないやろ…」

とか何とか言っていた。

知るか、一生くたばってろ。

「じゃあ、入学式でも行って女捕まえてこい馬鹿」

俺はハッと鼻で笑いながら、校舎に再び向き直り屋上へと向かう。

「親友見捨てるとか酷っ!逃がすかぁ!」

その時、ガシッと斎藤が俺の脚にしがみついてきた。

「テメッ、離せッ…!俺は屋上行くんだよ…ッ!!」

ズリズリ斎藤を引きずりながらも、とりあえず俺は屋上に向かった。

流石に階段に来ると足を離して自分で立って歩いていた。


「…斎藤、お前なんでこの高校に来たんだよ?」

屋上に着く前、俺は斎藤にそんな事を尋ねてみた。

「んー?僕?何でかって…そりゃ可愛い女の子を———」

「聞いた俺がバカだったな」

流石女好きというか何というか。そこまでいくと清々しい。

「じゃあ、お前は何でここやねん?」

「家から逃げてきた。今、アパートで一人暮らし。

 でも、まさかこんな息苦しい場所だとは思わなかった」

俺は簡潔にそう述べた。

…親とか兄弟に振り回されず、自由になりたかったが、

高校も行かないでそうするのは…あまりにも身勝手。

だから学校には行くことにした。無論家から遠いところに。

「…言い訳するためにここ来るとか…それ聞いたら落第者泣くわ。

 ここ、かなり有名な名門校やで?」

「けっ、トップ合格したお前に言われたくねェ」

…言い忘れていたが、斎藤は中学ではいつも上位ベスト3に必ず入っていた勉強優秀な生徒だった。

だが、不良だという事と女好きは変わらない。女好きに関しては筋金入りだからな。

「…、

 あのなぁ、渚…お前————」

それを聞いた斎藤は、溜息をつきながら何か言おうとしたが、屋上に出たところで言葉を止めた。


何故なら、屋上には一人の女がいたからだ。


綺麗な黒髪で腰までのストレート。振り返った際に合った目はパッチリしていて、

瞳は濁りのない黒色をしていた。おしとやかというか、上品で落ち着いた雰囲気の似合う女。


「————めっちゃ美人…」

「ちっ…、先着かよ」

俺は、斎藤の言葉を無視して言った。

「…本間女に興味無いねんな。僕悲しいわー」

「————おい、お前何やってんだ」

また、さらに斎藤の言葉を無視して、俺は女にそう言った。


…今思えば、この女に話しかけなんかしなかったら、俺は変わる事はなかった。


「——えっ?わ、私…ですか?」

「ちょ…渚、ナンパは僕の特権やで!?」

斎藤は後ろでなにか言っているが無視。

「他に誰がいんだよ」

「あ…そう、ですね…」


しかし、今はその事を知る由もない。


「———あの…、よければ聞いてくれますか?」

「は?」

面倒クセェ…。

「まぁ僕ら時間はあるし、全然ええで♪」

俺は断ろうとしたが、斎藤はあろう事か…そう女に言った。

「…!」

テメェ…余計な事言いやがって。

女が絡むとこうなりやがる…

——でも…時間は実際のところあるし、まぁいいか。

俺は面倒くさいと思いつつも、女の話を聞くことにした。

「…お前名前は?」

「あっ、私は新橋 葵です」




————さぁ、始まる。


たった今から、長い長い一日の始まり。