コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 青春ライン*10話UP 参照200突破!感謝感激ですw ( No.44 )
- 日時: 2010/07/28 21:33
- 名前: 梓 ◆hRE1afB20E (ID: 8I/v6BBu)
11話
バイクは裏通りを通り抜け、何度もカーブを繰り返しながら数分…
俺たちはついに学校へ戻ってきた、戻ってきてしまった。
「うーし、着いたぞ。足…降りれる?何なら肩なり手なり貸すけど」
バイクを校門近くで駐車した五十嵐は、ニカッと笑いながら俺にそう尋ねた。
俺は「じゃあ肩…(借りる)」と言い肩を借りると、
ゆっくりとバイクから降りた。
しかし、足の激痛のせいでうまく歩けず、
1歩進むのに中々の体力と時間がかかる。
———ズキッ
と、その時、不意に頭痛がした。
「?」
あまり痛くなかったので、俺は特に気にもとめなかった。
「————しかし、お前本当薫と性格似てるよなぁー。
喧嘩好きなのも沸点低い所も…」
雲仙は、バイクに鍵をかけると、肩を差し出しつつ俺にそう言った。
「…」
俺は何も言い返さなかったが、心の中で
『アイツと似てる訳ねぇだろ』
と、呟いた。
…自称だったが、アイツ…薫は、20人を相手して全員動けなくなるまでやりあったらしい。
状況が状況で、俺は信じたのだが…それがもし本当なら、アイツはとんでもない化け物だ。
仮に嘘だとしても、アイツから感じる威圧と危険性を察すれば、
誰だって奴を恐怖また脅威に思うだろう。
———しかし、今日は散々な日だった。
俺は溜息をつきながら顔を上げた。
校舎の時計は2時を指示していているが、
俺にとっては本当に長く感じられた。
———ズキッ
…疲れた。
もう———限界…
———ドサッ
気が付けば、俺は倒れていた。
その事と気付くと同時に、俺はそのまま眠るかのように意識を失った。
*
「“過度の疲労とストレス”…。
…君たち、彼に一体何したんだ?
倒れるほどのストレスは本当に体に毒だからね。
骨折よりもストレスのほうが危ないし怖い」
東城君が五十嵐 蓮によって保健室に担ぎ込まれた後、
私たちは保健室の先生である黒雲先生に叱られていた。
「…反省しなよ、君たち。彼にとっては酷い仕打ちだろうね。
———明日、朝のうちに謝っておきなさい。
今日はもう帰っていい、親御さんが心配するだろうしね」
と、黒雲先生が言い終わったときには、もう5時を過ぎていた。
その場にいた生徒は、肩をすくめて反省し、ポツポツ家に帰り始めた。
しかし、私は———迷惑をかけたという罪悪感を残したまま帰る事が出来なかった。
「…先生、深く反省してます…。
でも、私は残ります、元はと言えば私が悪いですから———目を覚ました時に謝りたくて…」
だから、私はここに残る事にした。
「…じゃあ、東城君が目を覚ましたら、連絡をください。
私は職員室にいるから」
先生は不安げにそう言うと、急ぎ足で職員室に戻っていった。
会議中に態々来てもらったので、余計に申し訳なかった。
「葵ちゃん…」
すると、和歌穂ちゃんはオドオドしながら私を見つめていた。
きっと、和歌穂ちゃんは何か言いたいのだろう。
翠憐ちゃんも、黙ったままこちらを見つめている。
「…皆は先帰って?遅くなるとダメだし…
私は大丈夫、親帰ってくるの遅いから…」
しかし、私は控え目に笑って、そう言った。
すると、翠憐ちゃんは何とも言えぬ辛そうな顔をしていたが、
「———じゃあ、イガグリ君によろしくね…?」
そう言って、槇玖君と保健室を後にした。
和歌穂ちゃんも、ペコッと一礼すると後ろ髪を引かれるように何度も振り返り、
保健室を後にしていた。
「————はーぁ…、しかし渚もアホやな…本間馬鹿やろ…。
そんな疲れとったんやったら、言ってくれればええのになぁ。
…水くさいと思わへん?」
「斎藤君…」
東城君の親友である斎藤君は、自虐的な笑みを浮かべながら、
ベッドで寝ている彼の顔を覗き込んでいた。
そしてワザとらしく溜息をつくと、斎藤君は私に、
「…コイツ起きたら、僕が『阿呆が』っつっとった、って言ってくれへん?
んじゃーな、葵ちゃん♪渚によろしく〜」
と、言って、保健室から出て行ってしまった。
皆も、思うところがあるのだろう。
そう思えば、一人残って謝りたいって…虫のいい話にも程がある。
だけど…どうしても謝りたい。
私が舞い上がって迷惑をかけてしまったのもあるけど、
一歩踏みだす事をためらっていた私の背中を、強引だったけど押してくれたのが、
紛れもない、東城君だったから————…