コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 青春ライン*本当にすいません… 11話UP 参照200突破! ( No.45 )
- 日時: 2010/08/01 17:10
- 名前: 梓 ◆hRE1afB20E (ID: 8I/v6BBu)
12話
「……?」
俺が目を覚ました時には、外はもうすでに薄暗く、
街灯の明かりがまばらに点き始めていた。
時計はもう7時をさしている。
『…つーか、俺どうしたんだっけ…』
何故、ここに寝ているのか思い出せない俺は、記憶を張り巡らせた。
学校に着いた後俺は…
————あぁ、そうだ。
急に頭痛に襲われて倒れたんだっけか?
…、
…ちっ、意外と俺も脆いんだな。
俺は、フッと自虐的に笑みを浮かべた。
体力にゃ自信あったんだけどな—————なんて事を考えがら、
俺はゆっくり体を起こした。
——キュッ…
すると、誰かが俺の手を握っている事に気が付いた。
目線をそちらにずらしてみると、そこにあったのは寝顔だった。
『————葵?』
何でコイツが…
俺は苦笑を浮かべながら、反対の手にハーッと息をかけた。
拳を十分に温めたところで、
「…オラ、起きろ馬鹿」
——ベシッ
そう言いながら寝顔を浮かべている葵の頭を軽く殴った。
「———はふぇ!?」
葵はそんな寝ぼけた声を上げながら飛び起きた。
「…うわっ、私寝ちゃったんだ!?」
まだ寝ぼけている葵は、何がどうなったか分らないらしい。
「手ぇ放せ、汗でベタベタしてんだよ…」
「う、嘘ッ!?ベタベタ!?」
無論、嘘。
とにかく、早く放してほしかったのでわざとそう言ったまでだ。
「………」
すると、葵は黙ったままこちらを見つめていた。
「…何だよ」
俺が思わずそう言うと、葵は180度向きを変えて
椅子ごと俺に背を向けてしまった。
『本当何なんだよ…』
俺は心の中で溜息をつきながらそんな事を思っが、
「…………」
葵の様子がおかしかったので、俺は思わず黙り込んだ。
すると、葵は背を向けたまポツリと言葉を漏らした。
「…ごめんなさい」
その声は、消えそうな程の小さな声だった。
「…は?」
何の事か話が見えず、俺は疑問形の声を漏らした。
だが、葵はまだ話し続ける。
「私が一人で勝手に舞い上がっちゃって、東城君に迷惑かけて…
ストレスと疲労で倒れたって聞いて…それで———」
『————あぁ、そう言うことか』
俺は苦笑を浮かべつつそう思った。
俺が倒れたのはやっぱり疲労だった訳か…
…で、コイツは今更責任感じてるってトコか…
———遅ぇんだよ!
俺は、今度はワザとらしく溜息をつき、
———バシッ
もう1発葵の頭を殴った。今回のは強めで。
「————ぅえっ!?…!!?」
葵はまた混乱を起こしつつ、俺を見る。
「ひ、人が真面目に謝ってるのに…!」
「何が真面目だ、人様に背ぇ向けて謝る奴がいるかよ」
俺は、けっと言いながら、葵にそう言い返す。
「別に謝んな、許しやるから」
「…え?」
「その代りもう二度と俺に関わるな」
俺は、葵を睨むようにしてそう言った。
…圧力をかけて「はい」と言わせるつもりだったのだが———
「———嫌です!」
この女は、ハッキリとそう言いきった。
「そんなの、許してもらった内に入りません!
関わりたくもないほど許せないなら、
関わりたくなる程許してもらえるよう努力します!
だから、今は無理に許さなくてもいいです…、
私がそれなりのことを東城君にしてしまったんですから…」
…、
「————うっぜぇ、お前本当うぜぇ!!
そう言う時は素直に『はい』つっとけばいいんだよ!
なんでそこでそんな解釈する!?訳わかんねェし、馬鹿だろお前!」
俺は吐きだすようにそう言った。
「俺は、お前が関わらないんなら、また自由で気ままな時間を明日から送れるんだよ!
そう考えたら許してやってもいいと、思って言ってやったのに、
何で『許してもらわなくていい』?ざっけんなテメェ!!
『はい』って言えっつってんだよ!その二文字でいいから言え!」
「——もう、嫌っていってるじゃないですか!」
と、そこで何故かムッとした葵が、両手をグーにして、必死に俺に抵抗した。
「嫌なものは嫌なんですよ!…確かに、私が悪いですけど、
それとこれとは話が別です!本当の意味で許してもらえるまで私は側にいます!
じゃないと………ダメな気がします!」
「気がするって何だよ!適当ぬかしてんじゃねぇぞマジで!」
「適当じゃありません!私は何時でも本気です!!!」
あ——————、もういい…
俺はもう諦めた。
くだらない口論に飽きたというのもあるが、
何かこの口論で勝てる気がしなかったからだ。
「もう好きにしろ…」
俺がそう口にすると、葵は驚くほど笑顔で、
「ありがとうございます!」
と、俺の手をまたギュウウッと握りながら言った。
嗚呼—————俺はまた明日からこのテンションに振り回される訳か…
俺は、苦笑を浮かべながらまた溜息をついたのだった。
次の日、足の骨折と他校との喧嘩が先公にバレて
1週間停学となったのは言うまでもないのだが。