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Re: 俺のトモダチは不思議ちゃん ( No.3 )
日時: 2010/07/17 21:23
名前: apple★ (ID: TLzyWqX6)

○−01



「彼女欲しいなー…伊槻は何で作らねーの?」

「別にいらねーし。」

友達の和樹は、いつもこの質問ばっかりだ。

「かっこーつけんなよー、伊槻ちゃーん。」

「キモ。」

「ひどっ!?」


別に格好つけてる訳じゃない。
単に冷めてるだけ。
俺だってもう少し熱血漢な性格になりたかった。


「伊槻くんって格好いいよねー」

「彼女いないのかな?」

「多分いないと思う。格好いいのに
 もったいないよねー…。」

「女の子が苦手なの?」


傍にいる奴等の内緒話は、周りに丸聞こえだ。
あえて無視してたが、
盛り上がってきたのか、さすがにうるさい。
注意するのも億劫だから、
軽い貧乏ゆすりで紛らわしていたが。

本人の前で、堂々と大きな声で喋るか…?


「…オイ、内緒話なら、あっちでしてくんね?
 こっちでされると、迷惑なんだけど」

「ご、ごめん。」


少し加減して注意しただけで、
焦って逃げていった。
顔は興奮気味で、
急いで仲間の女に駆け寄って行くのが見える。


「…ウチ伊槻くんに話しかけられちゃった。」

「まじで?いいなー!」


チッ。どうせ周りに言いふらしてんだろ。
どっち道、注意してもしなくても
あんま変わらなかったし、
変に期待させんじゃなかった。
少し俺は後悔していた。

毎日毎日、女は要らないほど寄ってくる。

自分で言うのも何だが、まあ頭はいい方だし、
スポーツも結構できる。
あと顔もそう悪くない。
綺麗な二重で、鼻筋はくっきり通っている。
髪型はジャニーズ的なありふれた感じ。
まあ少しイケメンに入る部類だろう。

でもいっその事なら不細工に生まれた方が良かった。
その方が女が寄ってくるのも無かったはずだし。


だって、どうせあいつらは顔しか見てないんだろ?


「ねえ、伊槻くん!」

「あ?」


なんだまた女かよ。
確かこいつクラスの…


「私、ここらへんにいてもいい?」


変な奴。いちいち許可取らなくても、
別にうるさくなきゃ怒らねぇよ。


「勝手にすれば。」

「えへ、やったあ。嬉しいな」


嬉しそうにこいつは笑った。
何が嬉しいんだか全く意味分からねぇ。




  ──その時の俺は、目障りだとしか思ってなかった。