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第参話「試験といのちと」 ( No.29 )
日時: 2010/08/22 20:24
名前: 神村 ◆qtpXpI6DgM (ID: 3mln2Ui1)

更新遅くて申し訳ない(汗)では、どうぞ。



——ホントウニソウオモウノカ?


 ゾクリッと今まで感じたことのない寒気が背中を走る。なんだ?この頭に直接響いているような気味の悪い声は。


——ホントウニユルシテモイイノカ?


 怖いと本能が叫ぶ。早く逃げろと俺の中の本能が警鐘を鳴らした。しかし俺の足は地面に縫い付けられたかのように動かない。ついでに腰も上がらない。全身が金縛りになっているみたいだ。俺は目を見開き、冷や汗をかいた。あれ?この状況まずくないか?

 俺が諦めかけたその時。

「あーーー!見つけた!」

 緊張感の欠片もない声が俺に向けてかけられた。あの少女だ。来歌だ。息を切らしながら俺の前で仁王立ちをし俺にビシィと人差し指を向けて指した。


——イマイマシイカミメ!!コロスッ!


 恐ろしいくらい低い声が頭の中で響いたかと思ったら、ぶわっと黒いもやの様な物が俺の体から出てきた。え?なにこれ?

 俺が混乱しているのをお構いなしに黒いもやは俺を飲み込もうとする。

「うわあぁぁあぁあああ!!!?」

 思わず俺は悲鳴を上げた。なんだこの死亡フラグ!!今日の俺何したYO!!?

 テンパり過ぎた俺は思考が変な言葉遣いになっている。やばい。どれくらいやばいかって言うとろくに鍛えていない勇者が単身ラスボスに挑んじゃったくらいやばい。

「そんな……邪《よこしま》なんて馬鹿な……そんなはずは」

 来歌は驚愕の眼差しをもって黒いもやを見つめる。

「とりあえず……危ないけど仕方ないよね」

 一人で納得したように頷く来歌さん。え?危ないってまさか……。

「全てを浄化する聖なる炎よ。神術『浄火』!!」

 俺と黒いもやに向かって右手をかざす来歌さん。そしてとんでもない事を口走った。

「ちょこっと燃やしちゃうかもしれないけど頑張ってね!青年!!」

 余った左手で握り拳に親指を突きたて前に突き出した。『Good Luck!』と見えない文字で書いてあったかに思う。そして物凄い良い笑顔だった来歌さん。畜生死んだら恨むぞ。枕元に立つぞ(泣)。

 そしてかざされた右手から綺麗な色をした炎が放たれた。それはもう見事な赤だったさ。

 俺は目一杯息を吸い込み、

「こんな変な死に方は嫌だああぁぁあぁぁあぁ!!!!」

 と大絶叫した。軽く近所迷惑になったかもしれない。俺の視界は赤に染まった。






 天国にいるばあちゃん。今日の俺は死亡フラグ立ちっぱなしです。

 やっぱり命は大切にしなくちゃね。俺はそれを痛感することになった。身をもって。