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第肆話「教え子見習い」 ( No.41 )
日時: 2011/01/22 18:50
名前: 神村 ◆qtpXpI6DgM (ID: 5Yz4IUWQ)
参照: 何かそろそろ土下座ではすまないような気がする

長らく放置をしてしまって申し訳ありません。言い訳などは言わず、頭を下げることにします。チッ、遅いダメ作者だな。しょうがねぇ、見てやんよという素晴らしくお心の広い方はどうぞ。











——ズキッ


「!?」


 いきなりの頭痛に我は思わず頭を手で抱えてしまった。ぐらりと体が傾く。頭が割れるように痛い。当然、未来なんて視れるはずもなく我は少し動揺した。こんなことは生まれて初めてだからだ。

「先生!?大丈夫!?」

 我の異常な様子に来歌は慌てて我の顔を覗こうとする。だが、我はそれを手で阻んだ。きっと今の顔色は良くない、むしろ悪いと自分でもわかるからだ。

 仕方がないからここは来歌に戦ってもらうことにする。神ならばいづれは戦うことになる相手だ。早いに越したことはない。それにこの程度の相手ならば勝てると思う。

「来歌よ。よいか、よく聞けよ。あの邪《よこしま》はお主が倒すのだ。出来るな?」

 来歌から我の顔が見えないように顔を伏せながら言う。案の定、来歌が息を呑む気配が感じられた。今、来歌の心の中は混乱状態で意味のわからない心のやり取りがなされているだろう。そう思うと少し可笑しかった。

「ええッ!!?マジっすか!?私一人で?むむ無理デスヨー」

「反応遅いな」

 十数秒遅れた来歌の反応に突っ込みつつ邪《よこしま》の気配を探る。どうやらまだ完全には回復していないようだ。我らの動きをじっと観察しているように凝視している。

「無理なわけがあるか。この我が言っておるのだぞ?これ以上ないくらい心強いと思わんか?」

 我は未来が視えておるのだぞと続けると来歌がしぶしぶと頷いて、

「頑張れ、私。負けるな、私」

 とぶつぶつとまじないのように呟きながら一人邪《よこしま》へと向き合う。その後ろ姿になんか罪悪感が若干感じるのは気のせいか。

「あのぅ……大丈夫なんですか?来歌さんは」

 そこに一人木の陰に隠れていた山田が出てきて不安そうに問うてきた。我は山田の方へは顔を見られないように背を向けた。これ以上、不安を抱かせないために。

「まぁ、何とかなるだろう。一応あれでも神なのでな」

 正確には見習いだがと心の中で付け足した。山田は我の言葉に安心したのかホッと安堵の息を吐いた。

 そして、山田ともに我は来歌の初めての戦いを見守ることにした。










 はらはらとわが事のように案じている山田に我は少し気になっていたことをぶつけてみた。

「山田とやらお主はなにゆえ自殺など馬鹿げたことをやろうとしていたのだ?」

 山田は少し黙り込んでから、

「そうですね。きっかけは何気ないことだったんですけど、なんだか嫌になっちゃったんだと思います」

「嫌になった?」

「はい。他にも色々とあるんですけどね。色々積もり重なって、世界というか、周りの環境とかが嫌いになっちゃった……からだと今は思います」

「ほう。それは、それは……」

 我は少し間をあけ、山田に聞こえないくらいの小声で、

「今の者はそのような理由で死を選ぶのか」

 と感慨にふけるように呟いた。

「え?」

 山田が聞き返そうとするが我はそれを強引にそらすように、

「それよりもほれ、もう決着がつきそうだぞ」

 来歌が戦っている方向を指差した。