コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 第壱話「落ちこぼれ神様見習い」 ( No.5 )
- 日時: 2010/07/28 14:05
- 名前: 神村 ◆qtpXpI6DgM (ID: 3mln2Ui1)
第壱話「落ちこぼれ神様見習い」
この世界にも神様はいる。実際にはもっと神様はいるが日本神話にも「八百万の神」と言われるぐらいである。といってもこの世界とはほんの少しずれた次元(異次元?)に神の世界は存在するらしい。
偉そうに神様などと言ってはいるが、全知全能な訳ではなく一つの役柄に数人の神がつき仕事をこなしていく。役柄というのは、この世に存在するありとあらゆる事象の数だけ存在するらしい。火、水、風などの属性から時間、過去、心、知識など目では絶対に見えないものまで在るというのだから驚きだ。ごく稀に役柄一つを一人でこなしている凄い人もいるのだとか。そしてこれらのもの全てを造ったお方が創造主だ。
とまぁここまでが神の世界の小さなお子様でも知っている世の常識だ。で、さらにここからが問題なのだ。人間は神様が永遠に生きられると思っているけれど実は違くて、力(ここでは「神力」と言うけれど)が強ければ強いほど長く生きられて、逆に力(神力)が弱いと短い寿命となるのだ。最低になってくると人間の一生とさほど変わらない寿命らしい。ちなみに私はこの「最低」に属する神様らしい。是非とも「ほんとに助けて、へるぷみー」と叫びたい。世界の中心で。
しかし最初から物凄い力を持っている神様なんて皆無に等しく、現代の人の世のように神の世にも、一つしかないが学校が存在する。学校を卒業すると神力強化のために力の強い神様の弟子になるのが通例だ。
けれども、何事にも例外というものが存在するものだ。例えば、どうしようもない落ちこぼれとかね、常にテストが零点に近い人などね。私みたいな。
私、神門来歌はただ今「弟子採用試験」と題された試練を受け終わり、結果を待っている。しかも、これで十回目となる。補足で説明させてもらうと偉い神様は一人一人違う試練を用意してその者の適正を判断する。適正判断で不適合となった者は今の私みたいにたらい回しにされるわけである。ちなみに普通の人は二、三回で合うとされる役柄が見つかり、役柄と同じまたは似たような役柄のベテランの神様に弟子入りするわけである。私みたいに十回も「弟子採用試験」を受けるのは滅多にいないらしく、受付の人にかなり同情された。何か泣ける。
そして待ち時間に心を静めるためにこうして誰に向けているのかわからない現実逃避をしている。多分、妖精さんかな?(遠い目)
「あの。神門さん?」
結果が出たらしく、受付の人が結果を伝えに来た。若干心配そうに私の顔を覗き込んできた。まぁ、それはそうだろう。結果を待つために通された部屋はただ椅子が真ん中に一つだけ置いてあって妙な緊張を感じそこに居るだけで疲れてしまうものだった。私は楽天家だからあんまり気にはならないけれど。
「はい。なんでしょう?」
にこやかに返すと受付の人は複雑な表情を浮かべ、
「残念ですが、不適合と判断されました。これから、あなたをあるお方のところにお連れいたします」
「は?何?どういう意味?」
さっぱり訳わからん。
「あなたを弟子にしても良いと言うお方がいるのです。しかし・・・・」
そこで言葉をきると受付の人は混乱している私に言い聞かせるようにゆっくりと言葉を紡ぐ。
「そのお方は弟子を取らないので有名な方で、気難しくかなりの変人と聞きます。どうか、お気をつけて。では、行きましょう」
そう言うと受付の人は呆然とする私を置いてさっさと歩き出した。私は数秒後に正気に戻り、慌てて受付の人の背中を追った。
この時はまだ、知らなかった。この日、この後に会うあの変人が私の人生を大きく動かす事に。