コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Tears...... ( No.45 )
- 日時: 2010/08/03 17:56
- 名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: kQLROmjL)
004
ブロロロロ……
家まで約30m。引っ越しの車が走り去るのが見えた。そういえば最近、隣の空き家に人が入ったとか言ってたよね。
「誰が入ってくるんだろ……?」
隣を覗こうとしたが段ボールの山で、よく見えなかった。見えたのは、背の高い男の子一人の後姿。どこかで見たことがある気がするのは……気のせいかな?
「あ、いけない。早くお掃除しなくちゃ!!」
門を開けて2段だけの階段を上り、家に入った。
「さと……?」
後ろから、さっきの男の子が呼んだのは聞こえなかった。
——————
————
「ねー、転校生って男の子だよね? イケメンかなー」
「マジで!? ちょっと髪くくり直さなくちゃ!」
ばかばかしい。
まだイケメンだって決まったわけじゃないのに。そういうとこ、早とちりだよね女子って。まあそんな私も女子だけどね。
「ね、皆そわそわしてるね」
「ほんとですね。でも柚葵は大地一筋でしょう?」
そうからかうと、ぷうっと顔を膨らませて、からかわないで、と言った。
「あ、もうすぐチャイムなる。じゃあ後でね慧美」
「うん」
「はい、皆席つけー。知ってると思うが、転校生が来ます」
ザワッと皆が騒ぐ。興味ないけど、一応顔だけ見ておこう。
「じゃあ、紹介する。名取、入ってきて」
「はい」
男の人の声がした。ガラッと扉を開けて入ってきたのは、背の高い……要するに、イケメンだ。
「きゃーー!!」
「マジ!? 超かっこいいんだけど!!」
女子の黄色い声が耳に痛い。でも、どこかで……?
「名取、自己紹介を」
「はい。名取千早と言います。昔はここに住んでたけど戻ってきました。よろしくお願いします」
名取千早。なとりちはや……。千早?
「「千早!?」」
ガタンと、同時に立って声を上げたのは、私と大地だった。
「……あ!! 大地、さと!?」
「マジで千早じゃん!」
案の定、クラスのみんなは意味が分からないという顔をしている。
「あ、私たち3人は幼なじみだったんです。千早が引っ越すまでは」
そう、私たちは幼なじみだった。とても仲がいいと評判の、私と大地と千早。
———この時から、崩壊が始まっていたんだ。
(きっと、運命なんだと思ってた)