コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re:     Tears...... ( No.74 )
日時: 2010/08/03 19:04
名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: kQLROmjL)

007


「〜であるから、ここは過去進行形になるわけです。ではこの問題を〜」
英語の時間。だけど、先生の声が遠くに聞こえる。頭痛がひどく、授業に集中できない。
「……ふう。解かなくちゃ」
そう思っても、頭がうまくついて行かない。……でも寝たら当てられるし。
「蒼井さん? 何をぼーっとしているのですか? 黒板の問題を解きなさい」
あ。やっぱり当てられちゃったよ。しかも長文問題……。
「チッ……はい」
気づかれないように舌打ちをして、前に向かった。舌打ちを聞いた人は笑いを堪えている。千早もその一人。……この先生、生徒の体調も分からないのか。
カツカツとチョークを滑らせる音だけが聞こえる。無のままで、ただ文を書いていた。
「先生。できました」
「(2分。早いわね……どうせ間違ってるだろうけど)はい、説明をお願いしますね」
説明までさせるのか……。まあいいや、さっさと終わらせて、寝よう。適当に私は喋った。
「……はい、いいでしょう。正解。(これ、高2の問題なんだけど……)」
先生の心の声が聞こえるはずもなく、ふらふらっと自分の机までたどり着いた。
(倒れちゃダメ、倒れちゃ……)
せめて椅子に座るまでは、と思っていた。椅子に手をかけた。
ガッターンッ!!
手に力が入りすぎていたのか、漫画みたいに椅子と一緒にずっこけた。
「お、おいさと……だ、大丈夫かぁー?」
千早が来てくれたけど、もう笑いを堪えてるのが見え見えだ。
「ん……大丈夫、で……」
最後まで言い終わる前に、ずるっと手の力が抜け、床に倒れこんでしまった。



by tihaya.

「え、おい? さとー?」
漫画みたいにずっこけたさとは、椅子に手をついて起き上がろうとしたが、また床に倒れこんだ。
「——っ!?」
顔を覗くと苦しそうに息をするさとがいた。慌てて、額を触る。
——熱い……!?
「先生っ! さと、熱あるみたいなんで保健室連れて行ってきます!」
「え、あ、はい……?」
突然のことであっけにとられている先生とクラスメイトを無視して、さとをおんぶした。そして、すぐに俺は保健室に連れて行った。

——さとの体重の軽さに驚き、目の下の隈に不安を感じていた。



(悩みは外に出ない、ほんとの悩みは誰も分かりやしない)