コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Tears...... ( No.115 )
- 日時: 2010/07/20 17:07
- 名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: 9Bqwph5S)
010
ピーンポーン
「あ、彗さんかな……?」
呼鈴が鳴ったので、俺は玄関まで走った。途中で階段から落ちそうになったけど。
ガチャ
「はい。———あ、え。だ、大地!?」
「焦りすぎ。……見まいに来た。さとの家にはいなかったから。あ、あと、柚希も」
家の前にいたのは大地だった。後ろには、森澤柚希。さっきまで二人の事を考えていたからちょっと焦る。
「あ、森澤……も?」
森澤はニコニコしながらぺこりと礼をした。笑顔が嘘くさいとは言わないことにする。
「初めまして。慧美のお見舞いに来たの。他の子も来たいって言ってたけど、大勢で行ったら迷惑だと思って」
「そうか、あがれば? 暑いだろ、外」
6月だからとバカにしてはいけない。梅雨まっただ中の晴れ間は異様に暑い。
「いいの? じゃあ、お邪魔します」
「お、家綺麗になってんじゃん。昔は木造だったもんな」
また知ったように言う。ここまでの会話でなんとなく気づいているかもしれないけど……。
俺は、大地が好きではない。嫌いでもないけど。
『幼なじみ』。それ以上に進歩することはないだろう。きっと。
「慧美ー!! お見舞いに来たよー!!」
階段の下から叫ぶ。病人だと知ってて言ってるのか?
普通の人間なら、風邪をひいて寝ているときに叫ばれて、よく思う奴は10人中0人だろう。
———でも今回は例外かもしれない。
「……あ、柚希ー!? こっち来ていいですよー」
「あの、すみません勝手に自分の家扱いされても困るんですがー?」
一気に言ってやった。何がおかしいのか森澤はキャハハとギャルのような笑いをして、階段を上って行った。
「柚希はあんな奴だから。悪いな」
苦笑して、大地も上にあがって行った。……って、結局あがるのかっ!?
「ったく、……———うぜーんだよ」
いつもと違う声のトーンで言ってやった。無論、聞こえてないと思う。
うぜーんだよ。さとを傷つけたくせに、のうのうと見舞いになんか来て。
さとの気持ちなんか、本当の気持ちなんか、誰も分かるはずねーんだよ。
——俺だって、わかんねーんだよ?
(傷つけるのは簡単だ)