コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Tears...... ( No.136 )
- 日時: 2010/08/03 19:09
- 名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: kQLROmjL)
001
satomi side
「期末テスト返すぞっ!!」
7月の中盤。終業式3日前のテストは拷問だよね。そんなことを思いながら、1番に返ってくるテストを見た。
「……96点」
高校でこの点数は、我ながらよくやったと思う。でも、ぐしゃっと握りしめ、席についた。そっとテスト用紙を開くと、手汗で点数がにじんでいた。
「褒めてくれる人なんて、いないじゃない……」
そっと呟く。小学校の時の思い出が胸をかすめる。小学校……4年生だったかな? テスト4教科すべて100点取って、褒めてもらえるってにこにこしながら帰ったっけ。
でも……
「何よ、授業聞いてたらこれくらい当たり前よ。いい気になるんじゃないのっ!」
母はそう言って、テスト用紙を床にばら撒いた。言ってることは間違ってはなかったけど。
「そんなこと自慢してる時間があるなら、もっと勉強しなさい!」
結局そう言うんだ。だって、あの人は厳しかったから。彗兄には優しかったのに。きっと、頭がいいからだよね。
もっと、賢く。もっと、上へ。もっともっと。母はそれが口癖のようだった。……ごめん。出来の悪い娘で。
あの時はそう思うのが精いっぱいだった。それ以上想像を膨らませると泣きたくなってしまうから。絶対に人前で泣かない。あの時に誓ったの。
本当の幸せなんて、あるはずないって知ってるから。
——————
————
「さとっ、帰ろう?」
放課後、千早が鞄を背負ってそう言った。私たち2人は帰宅部なのだ。今さら部活も面倒くさいしね。
「はい。大地、柚希っ! 部活頑張って下さいね!」
柚希はサッカー部のマネージャー。大地の近くに居たいからだって。私も誘われたけど断った。だって、恋心を抑えきれないような、そんな気がしたから。
「おうっ、行ってくるな!」
「慧美、また明日ねっ」
2人は手をつないで、教室を出て行った。バカップルぶり、健在……か。
「千早、帰りましょうか」
2人を見送り、千早に目を向けた。
「——ち、はや……?」
千早は2人の去った方向をじっと睨みつけていた。いつになく真剣な目に、ドキッとした。
「あ、ごめん。帰ろうか!」
数秒後には何もなかったかのように、いつもの笑顔でこちらを向いた。
大丈夫、だよね。
———何も壊れたりなんか、しないよね……?
(知ってるけどね。2人の間に隙間なんてない事)