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Re:     Tears...... ( No.166 )
日時: 2010/07/25 13:27
名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: kQLROmjL)

004


どれくらい時間が経っただろう。
沈黙が続く屋上。私のすすり泣く声だけが響く。
「さと、何かあった?」
すすり泣く声が小さくなったのを確認してから、千早はそっと聞いた。でも、考えるだけで泣いてしまいそうになる。
「あ、の。大地が『柚希はどうでもいい』って……。二人が喧嘩したから、仲直りさせようって……」
しどろもどろで、自分が何を言ってるのか分からない。けど、千早になら言える気がした。
「だから大地に、話を聞いてって言ったのに……!! どうでも良いなんて言って、酷いです……っ!!」
唇をかみしめて、上を向いた。また泣いてしまいそうになったから。千早は黙って聞いてくれていた。
「さと、よく頑張ったな」
ポンポン、と頭を数回撫でてくれた。見上げると、優しそうな笑みでほほ笑んでいた。
けど、数秒の間に、怒りと恨みのような目で宙を見つめていた。思わず体が強張る。
「さと、あとは俺が何とかしてやるからさ、心配するな。もう十分頑張ったからな?」
「い、いいんですか?」
こくりと頷く千早を見て、枯れたはずの涙がまた溢れそうになった。私ってこんなに泣き虫だったっけ?
「また、さとが大地のことで泣くのは見てらんねえんだよ」
「え?」

大地のことで? 〝また〟?

「じゃあ、泣き止んだら正門の所に来いよ。一緒に帰ろうな!」
こともなげにそう言うと、先に屋上を去っていった。呆然と立ち尽くすだけだった。
「何か……知っているの?」
私の気持ちも。思っている人も、全部——?

ねえ、教えてよ。
千早の気持ちを、本当の私に戻れる日を。

You know everything.



(ねえ、教えてよ。すべてを)