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Re:     Tears...... ( No.189 )
日時: 2010/07/27 19:08
名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: kQLROmjL)

007


「おっす千早!」
「おう、おはよ」
クラスの奴らと軽く挨拶を交わした。後ろからさともやって来る。昨日のことはなるべく気にしないように頑張った。
「あ、慧美ちゃん。おはよー!」
「井川さん。おはようございます」
クラスでもチャラい、悪ガキとでもいうのか。要するに井川という不良は、さとに挨拶をしていた。
「もー、健吾でいいって言ったじゃんー!」
「はい、でもあの……あまり男の子を下の名前で呼ぶことがなかったので……」
「千早と大地は良いのに?」
そう言えば、さとは男子でも女子でも、よほど仲良くなければ下の名前で呼ばなかった。呼んだとしても、さん付けで。
小さいころから、さとは人見知りだったからな。でも、クラスでは浮いてなくて、逆に一目置かれているみたいだ。
さとは人を寄せ付ける。一目見たら、仲良くなりたい、って思う。
「やっぱ、幼なじみのよしみってやつか?」
「はい……それもありますけど、やっぱり千早や大地は特別なんで」

〝特別〟

さとが言うなら、きっと特別なんだ。他の誰にも負けない、俺とさとの仲はやっぱり〝特別〟なんだよな……。
そう思うと、嬉しい気持ちになった。優越感も持ちそうになったけど、大地も特別なんだよな。少し複雑……。
「あ、慧美……。おはよう」
その時、森澤がおずおずとさとに近づいてきた。
「その、ごめんっ! 昨日、慧美の気持ちも考えずに、無神経だった」
「柚希……。もういいですよ。昨日千早が話を付けてくれたみたいですし」
ね? と、さとは俺の方を向いた。突然のことでびっくりして曖昧な返事しかできなかったけど。
「うん、大地君謝ってくれたの。慧美、ありがとう。千早君もありがとう!」
お礼を言われて嫌なわけじゃない。だけど、謝ったのがアイツに離れてほしくなかったからってところが複雑。
まあ、俺は大地と森澤が別れてほしくないんだけど。偽りの愛って所か? それも嫌だな。
「私は何もしていませんよ。千早の努力と協力のおかげです。千早ありがとうございます」

——さとにお礼を言われるのはうれしい、なんてゲンキンだろうか。



(つーか第一、俺こいつらに協力してたっけ?)