コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Tears...... ( No.194 )
- 日時: 2010/07/28 21:06
- 名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: kQLROmjL)
008
summer vacation!!
「千早っ!! いつまで寝てるの!? もうお昼なのよー!!」
「うるせーな……。夏休みだからいいじゃねーか!」
夏休み位ゆっくりしてーじゃん。と、朝に弱い俺はぶつぶつと布団の中で愚痴る。学生は朝から晩まで勉強してるんだぞ! あ、俺の場合はしてないか。
「もー、せっかく慧美ちゃんが来てくれてるのに。あんたの好きなゼリーも持って来てくれてるのよ?」
「そうですよ。千早、早くしないと食べちゃいますよ!!」
一番に好きなさとと、一番に好きなデザートのゼリー。これが揃っていて行かない奴がいるだろうか。俺は布団から跳ね起きて、急いで服に着替えた。
「あ、おはよーさと」
母さんに挨拶せずにまずさとに挨拶した俺はきっと、さとが好きすぎて……いや、暑さで頭がイカレたか。どっちにしろ、母さんに挨拶をする気は更々ない。
「もうお昼ですよ。それに千早の頭、まるで鳥の巣みたいですっ」
くすっと笑われたので、慌てて頭を触る。ぴょんとはねた髪が確認できた。否定できないのが辛い。
「う、うるせーよ。それより、何でさとがここにいる訳?」
母さんに渡された櫛を黙って受け取りながら聞いた。なかなか直らない髪の毛に嫌気がさす。小さい時からのくせ毛は未だに直らない。直るもんじゃないと知ってるけど。
「千早のくせ毛、小さい時からずっとですよね。まあそれは置いといて、今日は宿題を一緒にしようかなって思いまして!」
じゃん! と白と黒のボーダーの手提げ鞄からワークを取り出した。分厚いワークなのに、それが何教科もあるのがムカつく。
って、そんなことはどうでも良い。一緒にワークをするにしても、さとと一緒にいられるなら何だってやってやるよ。なんて、考えてしまう俺って、つくづく単純。
「おう、いいよ。とりあえずゼリーを食べてからな」
「冷えてませんよ」
バサッと切られて何気にショックを受ける。冷えてない、そりゃそうか。さっき持ってきたばかりだろうからな。食べられると思っていたからショック。
「誰もゼリーが食べられるとは一言も言ってませんからね。さ、早く宿題終わらせましょ! おばさん、ジュース持っていきますね!」
「ええ、ごめんねー慧美ちゃん。このバカ息子の為にー」
ズルズルと半ば引きずられるようにして、俺の部屋へと入って行った。宿題は嫌だけど、さとと一緒にいたいって気持ちが強かった。大地との差を縮めるために。そしていつか、追い越すために。
そして願うならば——……
「千早? どうかしましたか?」
さとの笑顔をずっと見ていたい。隣でずーっと。
「ううん。何もない!」
贅沢すぎるかな? でも友達でもいい。特別な幼なじみでも、ただの幼なじみでもいいんだ。ただ、傍で一緒に泣いたり笑ったり、喧嘩したりしていたい。
「んもうっ! まだ寝ぼけてるんですか!? 早く宿題しますよ!」
いつの間にか部屋について、さとはさっき持ってきたアイスカフェオレを飲んでいた。俺はまだ入り口で立っていたままだったので、慌ててさとの正面に座ってアイスコーヒーを一気に飲んだ。
グラスについた水滴は、真上まで上ってしまった太陽にキラキラと光輝いた。
(俺の恋を、太陽は味方してくれますか?)