コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Tears...... ( No.201 )
- 日時: 2010/07/29 18:55
- 名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: kQLROmjL)
009
「なあ、さと。この問題分かった?」
開始3分。分からない問題にぶち当たった俺は、2分間考えたがワークは真っ白だ。さとのワークをちらっと見ると、2ページ弱埋まっている。さとの頭はどうなってんだ?
「どれですか? って、この問題は中学校の復習問題じゃないですか!?」
「うん」
中学校時代はロクに先生の話を聞いていなかった俺は、『顔は良いのに頭がね……』と散々言われていた。事実なために反論できない。
え? 顔が良いのも事実かって? それは想像に任せる。ここでYesという奴はナルシストだと思われるからな。
「『下の文を和訳しなさい。This movie was interesting.』か」
中二の問題らしいが、どうも俺は中二の記憶が曖昧だ。第一、wasって何だよ?
一方さとは、ふんふんと頷いて顔を顰(しか)めながらこちらを向いた。まるで『こんな問題も分からないのか』って言われるみたいに。
「ふう……wasはis,amの過去形。interestingは面白いって意味です」
さとはヒントだけさらっと言って、後は自分で考えろと言わんばかりに盛大なため息を吐いた。
「えーっと、『その映画は面白かった』でいいのか?」
「そう、正解です!」
またため息を吐かれるかと思っていたが、思いがけないさとのほほ笑みと言葉でで少し驚いた。驚いたのは、英語が苦手な俺がさとのヒントでサラッと解いてしまったこともだった。
「慧美ちゃーん、千早! 休憩しましょうか!」
下の階から母さんの声が聞こえた。俺は即座にワークを閉じて立ち上がって伸びをした。背中が痛い。
「やったあ! 千早行きましょ?」
「おうっ! ……あ、ちょっと待って」
俺は視界に入った窓の外を見て、さとを呼び止めた。さとは不思議そうな顔をしているが、俺の視線の先を見て小さく声を挙げた。
「綺麗ー。飛行機雲……」
飛行機雲の線がまっすぐ三本、平行に並んでいたのだった。おまけに外は快晴。空の青に白の雲がくっきりと映っていた。
「二人ともー! 早く来て、ゼリー無くなっちゃうわよー」
母さんの声で我に返った俺らは慌てて階段を下りた。途中また振り返ったけど、窓には空の青しかなかった。
( skyline of summervacation!! )