コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Tears...... ( No.208 )
- 日時: 2010/07/31 16:42
- 名前: 美純 ◆dWCUS.kIT. (ID: kQLROmjL)
010
「このゼリーおいしいですね!」
パクッとゼリーを口の中に入れる。さも美味そうに笑顔をこちらに向ける。
「そっちはオレンジだよな。こっちのグレープも美味いよ!」
好きなフルーツが違っていたので喧嘩にならずに済んだ。昔は大地と取り合いしてたよな……。さとは呆れて先に食べてたけど。
「グレープも美味しそうですね! 一口貰いまーす」
返事も聞かずにスプーン一杯すくったかと思うと、パクリと食べてしまった。ゼリーには丸くすくった跡が残っていた。
「ああ!! さと勝手に食べんなよ!」
ん? これって……関節キスとかいうやつか? はっと思って、ゼリーにつけていたスプーンを離した。そして、さとをちらっと見る。
「何ですか? あ、私のも食べます?」
……さとは特に気にしてなさそうだ。小さい事を気にしない俺は即座に忘れることにして、さとのゼリーに手を伸ばした。
さとの顔が少し赤くなっていたのは暑さのせいだということにした。
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「あ、そう言えば二人とも。今日花火大会があるって知ってた?」
ゼリーを食べ終わって涼んでいると、母さんがふとそう聞いてきた。花火大会か、懐かしいなー。
「そうなんですか! 千早、一緒に行きませんか?」
案外乗り気のさとに押される様にして、俺は花火大会に行くことになった。約十年ぶりのここでの花火がどうなってるのかも気になっていた。
「よし、そうとなったら早めに行った方がいいわ。で店はこの時間から出ているみたいだし、ギリギリに行ったら込み合うからね」
「あ、じゃあ準備してきます」
さとは一旦家に戻り着替えたり荷物を持って来たりする。その間に俺はソファーでごろんと横になっていた。用意する気はないが、何気にさとと行く気は満々だ。
「千早ー、お待たせしました!」
数分後、可愛らしい格好で現れたさと。白いサマードレスに籠のバック。いつもお団子にしている髪は下ろしていた。
「おう、じゃあ行くか!」
「はい、おばさん行ってきます!」
俺らは、夜に始まる花火大会に出かけた。
(さとの髪は日に当たって輝き、風にさらっと揺れた)