コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

第四話 「あたしの過去、ジーナの二日酔い」 ( No.11 )
日時: 2010/07/18 21:52
名前: リコ☆ (ID: GWJN/uhe)

「うわーーうわーー」

ジーナがあたしんちの酒だなを見つめる。

「これ、飲んでもいい?」

ジーナが持ってたのは日本酒。

「い、いいよ」


ちくり…

ココロが針に刺されたように感じた。


(お父さんと似てるな…)


日本酒を最初に飲むところとか。


(やっぱ、忘れられないや…)

あの日のこと。


あたしのお父さんとお母さんは、ちょうど今日みたいな夕暮れの日、消えた。

あたしが小学一年生の時に。

噂では、あたしを育てるのがめんどくさくなった、とかあたしが邪魔だった、とかばっかだった。

信じられない、って思った。

だってあんなにあたしのこと優しくしてたのに、っても思った。

だから、待った。

親戚のおばさんが来てくれたが、断わった。

来てくれると思って、半年待った。

だけど、来なかった。


本当に、あの噂は本当だったのかなと思い始めた時、とめさんが来た。

とめさんは優しかった。

だけど、とめさんが来たのは絶対、お父さんたちが言ったからだと思った。


だからあきらめた。


(ジーナが飲んでくれれば、忘れられるかなって思ったのが間違いだったかな)

やっぱ、忘れられないものは忘れられないらしい。


(でも、ジーナがいてくれると心強くなる)

住んでくれるというのを思い出すと、うれしくなる。


「ういーーっく、もう一本持ってこーい…」


ジーナの声で、はっ、とした。

(あ、そういえばジーナ、お酒飲んでたんだっけ?)

「ごめんなさい……うわっ」

「酒持ってこーい」

目の前にはすっかりよろよろになったジーナがいた。


(一本でオヤジ化ですか…)

飲みたいけど弱いんだな、きっと。

そう思って、もう一本のお酒を差し出した。

             ☆

次の日———————

あたしのベットででごろごろ回る一人の怪物がいた。

「うぅぅうぅうう……」

「ううううううう、う!!」

あたしは一瞬、びびってしまったが、

「ぅうぅうう……頭ー、だれか頭の鐘とめて〜」

の声でジーナだと思った。


「大丈夫ですか…?」

あたしは聞くが、

「うぅぅううう…」

なおも頭を抱えている。


どうやら、気持ち悪いようだ。


(悪魔でも二日酔いするんだ…)


あたしは、少し新発見をした気分になった。

「ぅーーー…助けてーーーー…」

ジーナはあたしに向かって手を伸ばす。

「怖いですよ、ジーナ」


髪を振り乱して顔が見えないとまるでゾンビ。


「とにかく水持ってきますんで、待ってて下さい」


「ありがどーー…リ゛エ゛ーーー」


あたしは台所へ水を取りに行った。


(えっと…氷入りでいいのかな?)

(一応ぬれタオルも持っていこう)

(あれ? タオルってどこだっけ?)

(あ、あったあった)

そんなことに20分も費やした時、


ごろごろごろ…バッターン…

ごろごろごろ…バッターン…

ごろごろごろ…バッターン…


(あれ? ジーナが暴れてるのかな?)


「ジーナー…もうちょっと待ってーー!!」


大きい声で言ってみた。


なにも音がしなくなった。


(聞こえたかな…?)


あたしは、また、ある作業を始めた。

ごろごろごろ…バッターン…

ごろごろごろ…バッターン…


「うるさいよーー。今出来たからちょっと待って!」

あたしが今してたのは、おにぎりづくり。

ジーナのお腹がそろそろ減ったと思い、心遣いをしたのだ。

あたしが、寝室へとつなぐ廊下のドアを開けた瞬間、


「おぞいわよ゛ーーー…」

横たわるジーナがいた。

「うわっ!」

あたしは案の定、水をジーナの顔にぶっかけてしまった。

            ☆

「うんまーーーー」

ばくばくとおにぎりを食い漁る、ジーナ。


(今日のご飯がなくなっちゃったよ…)

とほほという思いで炊飯器を見る、梨江。

なんという食いしん坊なのだろうか。


それともさっきのことを怒っているのだろうか。


(二日酔いのジーナ、恐るべし)


続く