コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

第一話 「変えてやろうか?」 ( No.4 )
日時: 2010/07/18 22:01
名前: リコ☆ (ID: GWJN/uhe)

「遅れる!」

靴をつっかけてカバンをすぐ背負う。

「いってきます」

大きな家に響く一つの声。

返してくれる人はいない。

少女はそれを気にせず、出て行った。

            ☆

「あのさ、聞いてよ! 昨日のテレビでさ…」

「オレ、みたんたぜ。こんなでっかい蛇…」

「みーちゃーーん! 宿題見せてーー」

たわいもない会話。

だが、あたし———千野梨江はそんな会話にはまれずにいた。

そんな会話をしたってなんの得にもならないし、第一あたしには、そんな会話を出来る友達なんていなかった。

そんなことだから人から冷めているといわれるのかもしれない。

(息苦しい…)

あたしだけがこの教室の中で__異端だった。

           ☆

キーンコーン…カーンコーン…

下校のチャイム。

男子は飛びだし、女子は集団で話しながら、教室を出て行った。

(今日は部活もないし、明日は土曜だし、ちょっと寄り道して行こうかなぁ…)

あたしは、いつもの道とは違う、気に入っている道に行くことにした。

「はぁ…」

なにもかも、つまらない。

学校に行くことも家にいることも。

「はぁ…」

二回目のため息を漏らす。

だが、次の瞬間、そのため息がかき消された。

ピンク色____。

今日は、オレンジ色でもない、少し青い色でもない、ピンク色の夕焼けだった。

(きれい———)

息をのんだ。

(つまらないことだって、ココに来れば全部なくなるんだ)

あたしはずっとこの道があればいいと思っていた。

それだけで十分、あたしの不満が満たされると。

だけど、あの人の一言。


「あんたを、変えてやろうか?」

きれいな女の人の声。

木の上にいるあの女の人が————


あたしの運命を変えた。


続く