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第五話『夢の中の私と君』

「おはようちかちゃん」
声をかけてくれたのは愛海ちゃんだった。愛海ちゃんは恥ずかしがり屋だし少し内気。
仲良くなったら明るいんだろうなー…かなみちゃんと居る時は凄く笑顔だもん。
……私はそんなことを考えながら廊下に出て、二階から上の三階が見える場所へいった。
…探してる。君を探してる。いつだって。どこだって。君を探しているんだ。
＿

「掃除だって！急ごう！」
私達は急いでいた。なんだって掃除場所が理科室で遠いから…そんなことじゃない。
理科室へいくのが遅れたら他の教科の掃除を見張る先生が居残りにすると言ったので、私達はこんなにも急ぐ。
「あ、蒼井くんと佐倉」
゛蒼井゛という人物の名前に私は体がびくっとした。それから少し体が熱くなって、顔が赤くなって。
゛佐倉゛という人物は、他の小学校出身の人で、まだ中学に入って間もないし、私には全然分からなかった。
…蒼井と佐倉が楽しく話す。蒼井、佐倉くんと友達なのかな？友達なら、友達出来たんだね！
蒼井の近くへ行こうと愛海ちゃんがいった。私は少し恥ずかしかったけど近くへいった。
蒼井と佐倉はおぼんを落としていたのだ。馬鹿っぽい蒼井。

「ださいね蒼井」
小さく呟いた。
「うるせえ、アイツが落としたんだっつーの」
………小さく呟いたはずだった。なのに君は気付いてくれた。
私は思わずほっぺをつまんだんだ。なんだか、君と一言だけでも話せたら、魔法みたいに世界が変わる。
——　世界が変わるんだ。