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制服に着替えて、学校から出た時校門に見覚えのある人影が見えた。

「恵里奈…なんでここに……。」

人影はまぎれもなく、恵里奈だった。

「……たまたま通りかかっただけよ!　勘違いしないでよね!!」

勘違いって、なんだ!?

昨日の事、わざわざ謝りに来たとか…??

「べっ…別に、昨日の事謝りにわざわざ部活早退してあんたの事待ってたわけじゃないんだからねっっ!!」

恵里奈が大げさに否定するが、どうやら文字通りの様だ…。

「なぁ、恵里奈…実は今日、いろいろあってあたしも部活早退したんだ。　だから、迎えが来ないんだよ…。だからさ……。」

話の途中で、恵里奈が突っ込む。

「分かったわよっ!!　いいわ、あたしの超おすすめスポット案内してあげる、着いてきなさい!!」

…っと言って、スコスコと先に行ってしまった…。





来た場所は、木がいっぱいに広がる景色の綺麗なところだった…。

「ここね、あたしが初めて家出した時に道に迷って、たどりついたとこなんだ。　ここに来ると、凄く元気をもらえるんだ…。」

恵里奈は、深く深呼吸している。

「翼、もう…怪我は治ったの?」

景色を見ながら、問いかけて来た恵里奈。

「ああ、もう完治したさ。この通りにな!!　だから、もうそんな風に、強がんなくていいだって…　昔のままで…」

「ふざけないでよっっ!!　あたしが、どんな思いでこの一年間を過ごしてたか…　翼には分からないでしょ!!!　あんただって、あたしの事憎くて仕方が無いんでしょ?　自分の夢壊されて、悔しくないわけ!?」

さっきの恵里奈とはうって変った、表情…。

「恵里奈、それ誤解だって……っっ!!」

思いを伝えようとした所、突然拳が飛んで来た…。

だが、それを片手で受け止めたあたし……。

「恵里奈、お前は誤解してるっ!!　あの怪我は、前の試合からなってた怪我だったんだよ！　ドクターストップがかかってたのに、痛み止めを一本しか打たなかった、自分のせいなんだ……　だから、恵里奈。　お前は何にも悪くないんだ。」

恵里奈はそっと、前に座り込む……。

「あたしのせいで、翼の夢を壊したって学校の友達にも、報道陣にも他の空手選手にも言われるようになって……、このままずっと、翼が二度と空手出来なくなったらどうしようって…不安で仕方なかった。」

父さんが言ってたと通りの事だった…。

恵里奈が泣き崩れて、語り続けた。

「だから、日本に翼が来たって聞いた時はびっくりして…しかも、昨日空手の練習試合で翼に会えた事本当はすっごく嬉しかったのに…翼の友達にあんな酷い事言っちゃって……ごめんなさい!!」

泣き崩れて、謝る恵里奈…。

「もう、気にすんなよ!!　別に怒って無いから!!　じゃあさ、約束してくれる??」

その言葉に、すこし動揺する恵里奈…。

「今度の大会に、まぁーでられるか分かんないけど、恵里奈…決勝戦でリベンジしていいか!?」

「………うん、ってかあたしも出られるか分からないけど…いいよ、お互い頑張ろうね!!」

最後に、小指を混じり合わせて…。

「指きりゲンマン嘘ついたら、ハリセンボンのーバス、指きった!!」





夕日が差す、ところで若い二人の笑い声がいつまでも鳴り響いていた……。