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十年前————


「どうして・・ママ・・・日本に行かなきゃダメなの？　ツバサも一緒に行くーー！！」
生温かい風が、木と髪の毛を揺らしている
「ごめんね・・翼　ママ用事があって日本に帰らなきゃいけないの・・　空手のお稽古、頑張ってね」
その言葉を最後に、母は日本に旅立った

あれから１０年・・・・

今・・・目の前に、いるのがあたしの“お母さん”・・まだ、信じられない

「ほっ・・・本当に、あっ・・あたしの母ですか！？」　
動揺していて、つい疑ってしまう・・
「翼・・・こっちにいらっしゃいーー！！！」
行きたい・・・だけど・・足が思うように動かないーー・・緊張しているからなのかな・・
「早く、行ってこいよ！！」
っと、あたしの背中を強く押した祐兄
「・・・・・あっ・・」
押してくれたのは嬉しかったが、このままではぶつかってしまうーー！！
「ホント、大きくなったわねーー翼！！」
目を開けると、真っ暗だった・・
どうやら、ちゃんと受け止めてくれたようだ・・
母の匂い・・全然変わっていなかったーー
間違いないーーーこの人は、あたしのお母さんだ！！
「お母さん・・・ずっと、逢いたかったーー！！」
恥ずかしながら呼んだ
「母さんも・・逢いたかったー！ごめんね、寂しい思いばかりさせて・・」
その言葉で涙目になってしまう、自分がいる
あんま泣いた事無いからな・・・兄の前ではーー

そして・・　

「ようこそ、我が桜ヶ丘高校へ———！！」