コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: COOL GIRL 最終回ですよぉぉ!! ( No.311 )
- 日時: 2010/11/04 20:05
- 名前: ピーチ (ID: rE1CEdls)
中編————。
会場の中はもの凄く広く、選手達の保護者が試合に先駆け、応援グッツなどの準備をしている。
「き…緊張してきた……!!! どなんしよ!? 翼!!」
さっきよりも異様なくらい奈々の緊張の仕方が違う。
「あはは…緊張しすぎだよ…奈々!! 大丈夫だって奈々なら、行けるって!!」
あまりにも奈々の緊張の仕草に、思わず笑ってしまった翼…。
「なんで笑うん?? 翼は緊張してないんか!? 一回戦目は、恵里奈なのに…。」
「してる……。でも、アイツに勝てる自信がある!!」
自分でも、よくそんな事言えるなと後のコトを考えないで言えるなんて……。
「やっぱ違うなぁ〜〜……オーラが!! 正々堂々、頑張ってな!!」
「奈々もな!! 試合見に行きたいけど…試合開始時間が同じだから……見に行けないけど お互い頑張ろうぜ!!」
翼と奈々は別の組でしかも同時進行な為、あいにく試合観戦が出来なかった…。
「あたしのは、見に来なくてええし!! ど素人の情けないカッコを翼には見せたくあらへんわ!! ほな、うちこっちのコートやから!!」
そう言って、奈々と他の部員達は別のコートに移動してしまった。
「翼はこっちだぞ!」
翼と同じコートである部長、啓太先輩が残りの部員達を率いて、桜ヶ岡高校様と書かれた部屋に着くなり、各自で軽いストレッチを始める。
翼は黙々とストレッチを始める。
時計を見ると、緊張が増してくる…。
翼の試合開始時刻は、9時30分。
残り時間が1時間を切っていた……。
「緊張してるみたいだな。」
ふと、啓太先輩は翼に声を掛けた。
「すいません、先輩……。 迷惑かけちゃって…。」
当然、自分の事で精一杯のはずなのに…。
「迷惑?? 全然してない! 緊張はするか…そりゃー去年のチャンピオンだしな!!」
そう笑って話かけてくれたが、啓太先輩の最後の言葉に違和感が残る…。
『『『去年のチャンピオンだしな!!』』』
「恵里奈が……去年のチャンピオン??」
一体どういうことだろうか…。
この大会は高校生だけじゃ…。
「あれ? 知らなかったのか!? この大会、中学生もある程度の空手の成績を残していれば、出れるんだよ。 まぁ…中学生が出場するなんて、この大会始まって以来の出来事だったからなー。 しかも、高校生を押し切って、優勝するんだ。凄いことだよ……。」
恵里奈の事はある程度調べてはいたが…。
まさか前年度のチャンピオンだったとは…。
だからあの時…。
『『『へぇ……翼、あたしに宣戦布告ってことね。 いいわ、あたしも明日全力であなたを倒すから!!!』』』
その意味は、ここにあったのか……。
「あれ…?? この話、しちゃダメだった??」
「……まぁ……チャンピオンに一回戦目から当たるとは思っても居なかったですよ!! 勝ち目ゼロって事もあるんですね…。」
先輩が言ったことで、翼は今日初めて弱音を吐いてしまった。
「いや、翼は勝てるぞ!! この二カ月間、死に物狂いで俺達の練習についてきてくれた。 怪我で一年間空手を休んでたことには驚いたが…勧誘させて悪かったとは思ってる!! 入部してくれてありがとな。」
翼は、ハッとする。
もう二度と、空手は出来ないんだ———そう思い込んでいた矢先に日本に来て、これから通う高校にて理事長を務めている、生き別れになったお母さんとの再会。
そして何よりも、また空手が出来る喜び。
「なんで先輩が謝るんですか!? 本当はあたし、ずっと空手がしたかったんです。 でも、日本に来てからはちゃんとした女の子で居ろって…… あの時、先輩達が誘ってくれなかったら、今こうして、こんなに気持ちの良いスリルをまた、味わえる事が出来たんですから!!」
外部の人から、空手のコトを言われる度に、逃げてばっかり居た日々……。
だから、パーティーの日は終わるまで、ずっと引きこもっていた。
「だから、絶対勝ちます!! 相手がチャンピオンだろーが、友達だろーが、ライバルだろーが、目の前にある壁をぶち壊さないと、先には進めないんで!!」
急に立ち上がった翼に驚く啓太先輩…。
「啓太先輩も頑張って下さい!! それじゃ…いって来ます!!!」
そう言って、彼女は間もなく試合開始になることを知り、急いでコートに向かった。
「なに!? 啓太、翼ちゃんに惚れちゃったの!?!?」
突然現れたマネージャー青木 和葉 (あおき かずは)
「そんなんじゃねーよ!! ただ、まっすぐだなって…。」
「へぇー……翼ちゃんはあ—見えて我慢強い子って感じがするな。だから、たまには思いっきり、発散させないと!!」
和葉がマネージャーらしい事をたまには言うんだな…そう、関心してるもつかの間———。
「あっ!今、たまにはマネージャーらしい事をたまには言うんだなって思ったでしょ!! まっ、いいけど!!行こう!! 翼ちゃんの復活試合見に!!!」
そう言って、和葉は啓太の手をとり、会場に向かった。