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やっとの思いでコートにたどり着いた翼…。

会場には、たくさんの人だかりが今から始まる試合を観戦しに集まった。

「翼、体は温まったか??　いよいよだな。」

しばらく経った頃、ベンチに戻り、顧問である大橋さんが声をかけてくれた。

「はい!!　まずはアイツに勝たないと…何も始まりませんから!」

隣りのベンチに座る恵里奈を見て言った。

相手は、去年のチャンピオン…。

あっちにはそれなりの責任やプライドがあるはずだ。


『それでは、これより第一試合、Ｎ高学園対桜ヶ丘高校の対決を始めます!!』

アナウンサーの声が会場に響き渡った。

『赤、佐々木　恵里奈!!』

名前を言われただけなのに、こんなにも大歓声なんて……。

さすがだな…前年度チャンピオン。

『白、伊野上　翼!!』

恵里奈程ではなかったが、歓声が鳴る。

『これより、試合を始めます!!　礼!!!』




審判が試合開始のサインを出した——————。