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会場を後にし外に出たら、ソファーに座っている恵里奈の姿が見えた。

「…負けちゃった……。」

近づいてくる翼に気付いたのか…。

だが、恵里奈は下を向いたまま翼の顔を見ようとはしなかった。

「チャンピオンに勝ったんだから、自信持ちなさいよ!!　それじゃーいくね!!」

恵里奈はそう言って、その場を掛け足で去った。


二回戦、準決勝と何の問題も無く自分では余裕で勝ち進んだ。

二つとも、恵里奈は観客席には居なかった。



向かえた決勝戦———。

普通なら、気分も最高潮になるはずなのに……。

一回戦目の結果に、本当に自分が勝った事に心から受け入れられないで居た。


「つばさ〜〜!!　決勝戦進出おめでとぉー!!」

奈々が制服姿で翼のところへ駆け寄った。

「奈々……ありがとう、その格好…。」

「もう、言わなくても分かるやろう??　もちろん、一回戦敗退やで!!　まぁ〜〜分かってた事やったし、へこみはせーへんかったけどな!!」

笑いながら、奈々は言っていたが…。

奈々の目は赤く充血しており、まぶたも膨れていた。

「決勝戦、恵里奈の分も頑張ってな!!」

「…おう、ありがとな!!」


奈々と別れて、再びあの会場に戻る———。






三日後……———————。


「行って来ます!!」

翼はいつも通りに家を出た。


翼の部屋に飾られた、金色のトロフィーと桜ヶ丘高校の空手部全員が映った写真が、眩しいくらいに光っていた—————。











終わり☆