コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- お粗末な勘違い ( No.29 )
- 日時: 2010/08/12 11:25
- 名前: あさ子 ◆D2yUo.n7Ls (ID: ZZ5Hb1Lx)
※病みネタです。閲覧する際はご注意を。
見てください、見てください! この毛先までケアの行き届いたさらさらストレートの髪を!!美しいでしょう? どうです、えりこの美貌に魅了されましたか。
あら、どうしてそんなに驚いているんです? 綺麗な硝子玉みたいな瞳が更に大きくなってますよ。えりこの髪の毛が急に伸びたことにびっくりしてるんですか?
昨日までの私はベリーベリーショートなチリチリの痛みに痛んだ毛でしたよ。もうお恥ずかしい限りです。あんな醜い髪形で貴方の目の前に立っていただなんて。自分を呪いたいものですよ。それ位あの髪の毛が嫌いだったわけです。
それはそれは自己嫌悪を超越して自虐心を抱かせるほどに。ほら、この左手の肘の下の辺りとか実際に……ああ、見たくないですか。残念です。
そんなことをする位に耐えきれなくなった私は良い案をひとつ思いつきましてね。とある方から拝借することにしたのです。
私の友人にとても綺麗な髪をお持ちの方がいたのですよ。その方は容姿も端麗で、性格も正にマリア様の生まれ変わりかと思える程に純粋で、完璧な方でしたよ。
だから、ひとつくらい少しの間私が貰ってもいいだろうと思いまして。あ。ちゃんと返しますよ。私こう見えても律儀な者でありまして。借りパクだなんて滅相もないです。
それで彼女の髪の毛を私の髪の毛に結合させたんですよ。勿論、その過程はお教えできませんよ。あくまで企業秘密ですから。えへへ。
結合し終わった瞬間、なんということでしょう! 鏡に映る私の美しさといったらもう表現できないくらいでしたよ。人間一部を整えるだけで印象も変わるんですね。本当に私じゃないみたいに幸せそうな顔をしていましたよ。
彼女からは自信を貰いました! だけど拝借したものなので直に返さなくてはいけないんですけどね。でも欲を言うならばこの少し赤い髪が頂けませんね。そこら辺は我慢しますけど。この方が色気があるかもしれませんし。
それで、期間限定ですけど美しく生まれ変わった私を貴方に見てもらおうと思って、今日は貴方の家に足を運んだのですよ。
あら、どうしてドアを閉めようとしているの? 折角彼女の私が来たのに失礼しちゃいます。ねぇねぇ、開けてくださいよぉ。ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ。
「帰ってくれよ! 僕は君のことなんて知らないよ!!」
あ。今の言葉でえりこの心はブロークンハートしちゃいました。駄目ですよ、女の子は丁重に扱わないと。硝子のハートなんですからね、そう簡単にひどい言葉口にしちゃ駄目です。
「君頭おかしいんじゃないのか!? それに、その髪由美子の髪みたいだ……。彼女の髪は地肌辺りが赤かった筈だ、そんな髪そうそういないだろ。……君まさか由美子を!?」
嗚呼、煩わしいですね。さっきから他の女の名前ばっかり……。貴方の彼女はえりこですよ。え・り・こ。まったく。痴呆ですか? 困ったものですね。
貴方、私に愛していると言って花屋で言ってくれたじゃありませんか。大きな薔薇の花束を持って。思い出すだけで口元が緩くなりますよ、うふふ。
「それって……もしかして由美子の誕生日に贈った花束の話じゃ……。君、花屋のアルバイトの!」
ふふふ。思い出してくれて嬉しいです。さて、それではお家の中に入れてくれませんか。
「……っ! 由美子、由美子、由美子!! 携帯に……っ」
あらあら。恋人の前で堂々と浮気とは許せませんねぇ。ちょこっとお仕置きしちゃいます。
えりこがそう言って大きなポシェットから植木鋏を取り出して彼の家に入るのと、彼の携帯が留守番電話サービスに繋がるのはほぼ同時だった。
(お粗末な勘違い)
……小説? と言いたくなる気持ちはわかりますがそこはあえて口を閉じましょう←
ヤンデレ一度書いてみたくて書いてしまいました。すいませんでしたorz
あ、由美子ちゃんの行方は皆様の脳内にお任せします^m^*