コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ☆星の子☆ 祝! 返信100突破! ( No.148 )
- 日時: 2010/10/06 22:02
- 名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: gWH3Y7K0)
6章 46話「本性」
(でかっ…・・・!!)
なつみの家を始めてみたときの第一印象『でかい』。
この前映画見に行った日の帰り、別れる時になつみの家の場所を教えてくれたので、誰にも聞かずにここへ来れた。これは幸いだった。丁度空が悪く言われた後なのだから、僕がなつみの名前を出すのはよろしくないだろう。
“ここの道を右に曲がったら大きいマンションがあるんだけど、そこの15番に私住んでるから! いつでも歓迎だよー!”
何と親切なことに部屋の番号まで教えてくれたなつみの姿が目に浮かぶ。
僕はふっと笑って、本当にでかいとしか言いようがないマンションの中へ入って行った。
ピンポーン ピンポーン
呼び鈴を鳴らしてみたが出てくる気配はない。おかしいな、熱が出たのなら部屋でじっとしてなきゃいけないのに。どこかへ出かけたのだろうか?
いや、違う。なつみはこの中にいる。
僕は確信した。勿論勘だけど。
試しにドアノブに手をかけてみる。すると、どうだろう。なんと開いてるではないか!
随分と不用心な家だな。
僕は舌を巻いて、扉をそーっと開けた。
「こんにちはー。安藤さんのクラスメートですけど、誰か居ますか?」
少し間が空いて「はーい。」と声がした。でも何秒か待ってみたが、一向に僕を迎える気はないようだ。イラッとしながら「あがりますよー」と声をかけ、靴を脱いでさっき声のした方へ歩いて行った。
居留守してたのか。
僕はいよいよ怒りを抑えつけられなくなってきた。随分と失礼じゃないか。僕は親切にお見舞いに来てやったというのに!!(本当の目的は違うけど。)
声のした部屋はキッチンだった。部屋に入ったとたん、うっと喉が詰まるようなキツイ匂いがした。
そしてキッチンにいたのは—————
「あれっ、なつみじゃん! 何やってんの?」
「あっ、光聖君! 来てくれたんだー♪」
なつみは何やら怪しいものをゆでているようだ。すでに鍋の中はは怪しい紫色に染まっている。どうやら匂いの原因はこれのようだ。
「なつみ、熱なんかなさそうじゃん。なんで学校休んだ?」
「微熱が出てさー。大変だったんだよ。今は平気だけど。」
「何作ってんの?」
僕はさっきから気になっていた鍋の方を指差した。
なつみはそれには答えず、とって作った満面の笑みを浮かべ喋った。
「光聖君が来てくれて、私とっても嬉しい♪ 心配してくれたんだねっ。」
そのあと、僕が無表情で指差す鍋の方を振り返るとニコッとぞっとするような表情を浮かべ、当り前なことでもいうような口調でさらっと言った。
「危ない薬だよ。」
「具体的にどんな?」
「空に使う薬っ♪」
そして冷酷な笑みを浮かべ僕を見据える。背中に冷たいものが走った。
「私が誰だか分かったようね。でも、まだショーは先。お楽しみはパーッとやらないと。だから知ってしまったのなら記憶を消すだけよ。」
さっきよりも1オクターブ低い声で彼女は言う。こいつはもうなつみじゃない。
こいつは————
最後に彼女は嘲笑いながら僕の前へ右手を伸ばす。だめだ。悔しいけど僕の方が力は弱い……!
「さよならっ♪」
その声と低い見下したような笑いを耳に、僕は心の底で叫んだ。
————空、なつみとは関わらない方がいい————
そう叫んだあと、僕は意識を失った。