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Re: ☆星の子☆   祝! 参照400突破! ( No.167 )
日時: 2010/10/14 21:57
名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: gWH3Y7K0)

7章     50話「電話」


 光聖君の記憶が全部なくなっちゃったらどうしよう?

 空は光聖君の部屋を出た後、言葉では表せない不安を抱いていた。ほんの些細な記憶喪失。光聖君の言葉はそんな風に聞こえた。でもその些細な出来事がきっかけで、どんどん記憶を失って言っちゃったらどうするの? 次々と記憶のパズルがなくなって、最後には私のことまで忘れちゃうのかも……。
 空は恐ろしいことを考えただけに寒気がした。
 それに……。
 光聖君はなっちゃんが怪しいと言っていた。さっきは思わず笑い飛ばしちゃったけど、実は私も、心のどこかでなっちゃんを疑っていると思う。でも、好きな人の記憶を消すなんて何のために? 
 そこまで考えて空は首を振った。だめだ。なっちゃんを悪く思ってはいけない。証拠もないのに……。それに!

(私、なっちゃんが人の記憶を消せる人間だと思いこんじゃってる……。光聖君の件が原因で摩訶不思議であり得ないことが起きても簡単に信じるようになっちゃった?!)

 もう最悪!
 空は心の中で叫んだ。何でもかんでも光聖君が原因じゃん。人の人生、振り回しちゃってるよね。
 そう思ってハーッとため息をつくのと同時に電話が鳴った。

 プルルルルルルル……

 いつ聴いてもうるさいと思ってしまうこの音に嫌気がさしながらも、空は受話器をとった。まぁ、声の主は大体予想できたが……。

「空? 楓だよ。」

 思った通り、空の親友、昔からの腐れ縁の楓が明るく喋った。その聞きなれた声を聞いて、空の心のもやもやが晴れた…気がした。
 「何か用?」と聞くと、楓は顔を見なくてもわかるくらい嬉しそうに話す。

「最近、運動会の練習で部活動できなかったじゃん? だから気晴らしにと、明日の放課後プラネタリウムに寄ろうだって〜♪ 今さっき柊先輩から電話がきたところ。光聖君にも伝えてね!」

 用件だけ言うと、楓は一方的に電話を切ってしまった。でもそれは毎度のことなので、空は気にしなかった。
 それに楓の明るい声を聞き、明日の楽しくなるであろうプラネタリウムのことを考え、空はさっきの不安はどこへ行ったのやら気分よく鼻歌を歌いながら眠りについた。