コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ☆星の子☆ 祝! 参照500突破! ( No.192 )
- 日時: 2010/10/23 16:30
- 名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: gWH3Y7K0)
7章 53話「噂をすれば影」
1年1組の委員長か…。
道理で空が知らないわけだ。空は他のクラスの子たちとは全く知り合いがいない。いるとしても部活動で知り合った人や、家が近所の人とか。
空がしかめっ面をして必死にどんな人か思い出していると、柊先輩が一人納得したような顔で頷く。
「そういえば、確かに1年の日向の父親はここで働いていたな。結構俺達、仲いいし。」
同じく望月先輩も無言で頷く。
楓は得意げな表情で、ニコニコしている。光聖君も誰だか知っているようで…。
空は一人だけ、日向茜という人物を知らないのでムッとした。
そこで光聖君が口を開く。
「佐藤と話していた奴だ。その時、一緒にいたから知っている。」
“奴”とか……。かっこいい顔して光聖君、物騒な言葉使うね。
でも光聖君が奴って言ったってことは、多分、第一印象が良くなかったためだろう。佐藤君と何を話していたんだろう、日向さんは。
「ねっ、会いに行こうよ。」
楓は空の手を引っ張って階段を上がっていこうとする。
「ちょ、ちょっと待ってよ。その日向さんって人がどこに居るか知ってるの?!」
そんな空たちの煩い声が聞こえたのだろう。噂をすれば影だ。
本人、日向 茜が姿を現した。
漆黒の髪を耳より長いか長くないかのところで切り揃え、制服をびっちりと着こなしている。
一瞬、空とバチッと目が合って苦い顔をしたような気がしたのは気のせいだろうか。すぐに明るい笑顔…というより営業スマイルをこちらに向けてきた。
「その制服……うちの学校の、天文学部の人たちね? はじめまして。日向 茜よ。」
そう言って何やら呟いた。距離が距離だから、流石に聞こえなかったけど。
ちょっと威張って言う日向さんは、確かに印象は悪かった。ちょっと顎の角度をあげたり、冷たい目つきで私たちをひと舐めするところが特に。この人がさっきのナレーションの人だなんて考えられない。
「さっきのナレーション、とってもよかった。お父さんの仕事手伝っているなんて、偉いね。」
楓は早速日向さんと喋る。それなのに、日向さんのそれに対する行動は酷いとしか言いようがなかった。
楓がせっかく褒めているのにフンと鼻であしらい、「将来のためよ。」と蔑みのこもった目つきで空たちを見る。
「あなたたちは将来、何をしたいかもう決めているのかしら? 早く決めといたほうが、いいと思うけど。」
楓も日向さんの行動にカチンときたらしい。
少しさっきより反発的に言葉を返した。
「どうしてよ?」
「そのうち負け犬になるから。」
日向さんは最後にそう言って、さっと身をひるがえしてもと来た道を引き返した。その姿は悔しいが、同じ制服を着ている空たちよりも威厳に満ちていた。
「なんか、やな奴だな。」
柊先輩が渋い顔をして言う。そこで望月先輩が珍しく口を開いた。
「昔はあんな奴じゃなかった。」
…?
頭に疑問符を浮かべる空に、柊先輩は説明する。
「愁と日向は幼馴染なんだよ。…つっても日向が引っ越したから今はどうしているか分かんないんだけどな。」
こくりと頷き望月先輩はまた本に視線を落とす。幼馴染なのに全然気にしていない様子だ。
……でもなぜ、あんなに性格が悪くなってしまったのだろう。
空は首を傾げた。