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Re: ☆星の子☆    キャラ人気投票結果発表!! ( No.245 )
日時: 2010/12/11 21:02
名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: gWH3Y7K0)

8章     63話「3つの光は怪しげに光る」


 僕は夢の中にすっかりのめり込んでいた。見たくないはずなのについつい僕らの姿を目で追ってしまう。そうしているうちに、僕は完全に幼い頃の自分に戻っていた。まるで自分が体験しているように、自分が感じているように。手にはなぜか、本当は掴んでないはずの琉の手の温もりがあった。

 琉の手を掴んで僕は通路を疾走した。琉の病室の物がガラガラと崩れおちる音は止み、辺りは不気味なほど静粛だった。聞こえるのは自分の荒い息遣いと通路をかける靴が反響する音だけだった。
 
「ちょっ……ストップして……。」

 琉がかなり辛そうな表情で僕の手を引っ張った。「でも…」と僕が言いかけたが、琉は片手をあげて僕を制した。苦しそうな琉を見て僕は仕方なく止まった。
 さっきの奇妙な地震は何だったんだろう…
 僕は結論の出ない疑問を頭の中で繰り返した。さっきは本能的に病室から出たが、そもそも目的地がない。今まで僕は何で走ってたんだろう? そんな馬鹿らしい疑問まで浮かび上がった。
 
「帰るか……。」

 僕はぼそっと呟いた。もう病室に帰っても安心だろう。さっきのようなざわざわする胸騒ぎはもう無い。はーっとため息をついて僕は琉を見た。そしてぎょっとした。
 琉の顔は青ざめ、今にも凍って動かなくなるくらい血の気がなかった。さっきから落ち着かない息を整えようと深呼吸してる。でも大きく息を吸うと苦しいようで時々顔を歪ませながら咳をした。
 ハッ、ハッ、ハッ
 琉の息遣いは次第に激しくなり、目は充血し、うる目になっていた。
 
「お、おいっ! どうした?! どっか苦しいのか?!」

 必死になって聞くが琉は答えない。どんどん呼吸困難になっていくようで時々苦しそうに喘ぐ。僕はどうしたらいいか分からずに、誰か助けを求めようと通路をきょろきょろ見回す。でもさっきも言ったようにここは今までに無いほど静粛で、寒気がした。
 僕は必死になってあたりを見回す。すると、通路の向こうに3つの光が見えた。ハッとして僕は大声で叫ぶ。

「おおーい!! 助けてくれ!! 友達が大変なんだ!」

 でもその言葉を発した後に、何か可笑しいと気がついた。その光は懐かしく、そして怪しかった。3つの光は多分懐中電灯の光だろう……。そう思っていたがある程度の距離まで光が近付いてきたとき、僕は目を見張った。到底、現実では考えられない異常現象が今、目の前で起こっていたからだ。異常現象、あるいは夢、もしくは蜃気楼としか言いようのない現象だった。
 一言で言い表せば、人魂…そのものだった。
 怪しい光が見事に宙をふよふよ浮いているのだ。まるで生きているかの様に通路をさまよい、僕らにやっと気づいたようにピタッとこちらを向いて止まった。
 そして機械の音声のように喋り方で、僕をもっと戸惑わせた。
 
『迷イ星クズ 発見 私タチノ ターゲット』